・OTHERS・
映画について


「ぴあシネマクラブ」(ぴあ株式会社)、「ビデオソフト完全カタログ」(角川書 店)、
および各映画のパンフレットから、一部抜粋。
タイトル ムトゥ・踊るマハラジャ
あらすじ ムトゥは使用人だけれど、旦那様も大奥様も一目置く特別な存在。何しろ旦那様の馬 車を操れる
のは彼一人、ジャッキー・チェン顔負けのアクションもお得意、無敵のムトゥなの だ。ある日負
けん気の強い女優に出会い、最初は反発し合っていたが、次第に惹かれ合うようになる。 しかし、彼
女の身に危険が迫り、やがてムトゥも悪人の策に墜ち、窮地に追いやられるが…最後 は衝撃のど
んでん返し!(ラブ・コメディ・アクション・サスペンス・ミュージ カル??)
コメント こんな映画初めてでした!「とにかくすぐに踊りだす映画なんでしょ?」と評判になり、インド
映画ブームを巻き起こしたヒット作品。初めて映画館に見に行った時は、驚きと笑いの渦!ラジ
ニカーントの、自信満々の笑顔とダンスもすごいけど、チープで仕掛けバレバレの映画作りが妙
に懐かしい。タミル語の、ぽんぽん弾むリズムも心地よければ、華麗な衣裳も見逃せない。音楽
も、一度聴いたら忘れられないインパクトだ。さらには最後にまさかのどんでん返し、脚本も面
白い!あっと言う間の3時間です、まだ見てない方にはおすすめです。
インド映画ってこんなに踊るものだったのか!と開眼、ラジニカーント作品含めいくつか見に行
きましたが、やはり「踊るマハラジャ」がエンターテイメント万国共通向けでは一番だったみた
いです。でも観客が踊ったり大騒ぎをするという、インドの映画館には一度足を運んでみたいも
のです。
タイトル 羊たちの沈黙
あらすじ 異常殺人鬼をめぐる、女性FBI捜査官と狂気の精神科医の交流を描くサイコ・スリ ラー。(サス
ペンス)
コメント これもヒット作なので、知らない人は少ないと思いますが。これは怖いですよね。ジョディ・
フォスターも好演なんだけど、アンソニー・ホプキンスの、あの上品さが怖くて、いい!もちろ
ん脚本も面白いですね。猟奇な殺人の話の割にはグロテスク過ぎなくて、サイコ・スリラーの醍
醐味が味わえます。
タイトル ファンシイダンス
あらすじ 岡野玲子の漫画が原作。モックン演じる若き修行僧のお寺ライフ・コメディ。(コメ ディ)
コメント これもはまりました。こういう笑いって、新しかった。原作も面白く、雰囲気は映画にもちゃん
と出ています。この時の大沢健、めちゃめちゃかわいいです。竹中直人ら、脇を固めるキャスト
も最高。観てない人には、どう面白いのか説明するのは難しいかな?独特の空気というか間が新
鮮な映画です。
タイトル 計画性のない犯罪
あらすじ 銀行強盗を企てるちょっとまぬけな一団と、かなりまぬけな刑事、さらに外れてる強 盗のボスの
騒動を描くコメディ。(コメディ)
コメント こちらは隠れた秀作というところ。これも見てみないと分からないかな。アメリカ映画によくあ
る、「どうしてこうなってしまうんだ?」的「うまくいかない」ムービーですが、トラブルの一
つ一つが大げさでないところが、いい。強盗の一団が抜けてて、なかなかうまく行かないのはあ
りがちなんだけど、追跡中の刑事が川に警察手帳を落としてひたすら探し、一方強盗のボスは山
で迷って虫に襲われ一人で四苦八苦…と、どうもズレてる展開が見逃せません。
タイトル ストリート・オブ・クロコダイル
あらすじ シュールな作風により「映像の錬金術師」と呼ばれるクエイ兄弟の短編5編から成 る。タイトル
作は、ブルーノ・シュルツ原作。よそ者が立ち入ることもない、秘密めいたクロコダ イル通り
に、一夜ひとりの男が迷い込み、妖しい神話的悦楽世界を目撃する…。 (人形アニメ)
コメント 人形アニメと言っても、もちろん子供向けのものではありません。なんともアヴァンギャルド
で、どこか怖いような、卑わいなような、でも懐かしさも感じさせるような、不思議な映像で
す。人形というのが、髪も目の玉もない、捨てられた人形みたいなのだったりします。人形及び
小道具の素材が、妙に触感が気になる…砂鉄、錆びた釘、虫ピン、虫、薄い薄い紙、羽根、内
臓…それらのものが、一種独特の動きで、独りでに動き、分かるような分からないようなストー
リーを展開していきます。中でもタイトル作は、もの悲しくもいかがわしい地下世界にふさわし
い、切ない音楽が映像とマッチ。なんとも不思議な世界です。
タイトル 時計仕掛けのオレンジ
あらすじ 暴力とセックスが生き甲斐の少年を主人公に、冷徹なバイオレンス描写と実験的映像 で近未来を
描く。何不自由ない管理社会と化した近未来。ベートーヴェンに酔い、「雨に唄え ば」を口ずさ
みながら、レイプや殺人を繰り返す15才の主人公と仲間たち。ついに捕らえられた 彼は、不気
味な実験にかけられ、別人のように無垢な人間に生まれ変わった が…。(SF)
コメント 私がこれを見たのは14才、普段行かない街の映画館で、非常に怖かった記憶があります。音楽
好きには評判の高い映画ですよね。今でも本当にこの映画が好きなのか分からないながら、妙に
惹かれます。昨今では10代による快楽殺人なんて珍しくないけれど、これは猟奇殺人ものなん
かにならないところがいいです。過激な内容を扱っていながら、全体を支配するシニカルなブ
ラック・ユーモア的視点が独特です。映像、音楽が麻薬のように効いている。そして、マルコ
ム・マクドウェルもいいですね。あのつけまつ毛もかっこいいし、なんか憎めないんだよな。
タイトル 女囚701号 さそり
あらすじ 漫画が原作。女囚さそりが投獄された女子刑務所で繰り広げられる、すさまじいいじ め・争い。
冷ややかに敵に応酬しながら強靱さを身につけたさそりは、やがて脱獄し、自分を陥 れた男の元
に、復讐に現れる…。(サスペンス〜ドラマ)
コメント イエローモンキーの吉井さんがはまっていたので、つられて借りてみた映画。安っぽいエロ・ヤ
クザ映画かと思ったら、思いがけずアヴァンギャルド!実験的映像と、ほとんどセリフのない
「さそり」のクールなキャラクターが、泥臭くなりがちなストーリーを、冷ややかに引き締めて
います。いかにも70年代という感じの女囚のメイクも、今見るとかっこいいのです(そう、囚
人服はボロボロですが、何故か皆お化粧しているのです)。主題歌「怨み節」も歌った主演の梶
芽衣子の、一貫した無表情と鋭い眼つきが怖くて、いい。呆れるほどあからさまな襲撃をかけて
くる女囚と看守達をさらりとかわしつつ、容赦ない復讐をやってのける様は、非常に小気味いい
です。その他、チープで馬鹿馬鹿しい映画作りぶりに笑えるところもあります。
タイトル イヴの総て
あらすじ 華々しい映画界の舞台裏。年齢による衰えから、役も恋人も失ってしまうのではない かと秘かに
怯える大女優マーゴの前に、ある日一人の若い女性ファンが現れる。彼女の純粋さ、 利発さに魅
せられ、マーゴは彼女を側に置くが、次第に彼女の策に墜ちてい く…。(ドラマ)
コメント ハリウッド映画。映画界の舞台裏の愛憎渦巻く世界に起こった騒動を、サスペンス風にドラマ
チックに描きながら、淡々と、少し辛口にまとめ上げた作品。退屈しない脚本を、豊かな演技で
再現。野心溢れる若い女に翻弄される大女優役には、ベティ・デイヴィス。栄光を手に入れた女
のワガママ・毒舌ぶり、強さ、その裏にある孤独と不安、そして哀れな女らしさを見事に演じて
います。新人女優役のアン・バクスターも、初々しさと憎々しさ(笑)を快演。そして端役で若
きマリリン・モンローが無垢な演技を見せているのも見物。映画のストーリーを思えば、この端
役のモンローがのちに大スターになったのも皮肉な感じです。
タイトル 日の名残り
あらすじ 厳格な執事と、女中頭の実らぬ淡い思いをからめながら、英国の貴族華やかなりし頃 から終焉に
向かっていくお屋敷の風景を、見事な映像と音楽で描く。
執事人生まっしぐら、親が死のうと、エマ・トンプソンが想いを寄せていようと、ひたすら気に
なるのは屋敷の手入れとご主人様のお世話。そんな執事だったが、今や別の若いご主人様の手に
渡り、昔ながらの使用人もいなくなり、結婚もせずに来た執事はほんの淋しさを覚えていた。そ
の昔、惹かれ合いながらもお互いに頑固だったため結ばれることのなかった女中頭に再会する事
になり、執事は、お屋敷が華やかだった頃とそれからの衰退を回想する…。
(ドラマ)
コメント ほとんどがお屋敷の(執事の)日常描写。それに恋愛に似た関係が絡むのだが、何しろエマ・ト
ンプソンとホプキンスのプラトニック・ラブなんて余り面白くないから、ただお屋敷の生活が続
くだけと言っていい。それで退屈しないのはなんなんだろうね。アイヴォリー監督お得意の、イ
ギリスの美しい田園風景から貴族の暮らしぶりの描写と、ホプキンスの重厚で緊張感のある演技
は、それだけで見ていて飽きないってことだろうか。もちろん、ストーリーも、地味だけれど、
栄華を極めた屋敷が次第に終わりを迎えるまでを着実に追っている。だから、終わりに導かれる
予感に満ちた一種の切迫感を感じながら、映画を見ることが出来る。そして、お屋敷が人手に渡
らないよう奔走することもなく、淡々と見届けているだけの執事の冷静さが、イギリス映画らし
く辛口でいいです。たまに感情的になりかけて、また引っ込めてしまうシブイ執事の演技が、た
まりません。
タイトル モーリス
あらすじ 同性愛が「犯罪」であった時代のイギリスの上流社会を舞台に、男同士の愛を芸術的 に描いた作
品。(ロマンス〜ドラマ)
コメント これも一部女性の間で流行りましたね〜。この時のヒュー・グラントはストイックで美しかった
から、一気に人気が出ました。でも、皆さん!主演はジェームズ・ウィルビイですよ〜。美青年
3人の恋愛ドラマって評判だった割に、ウィルビイは庶民的な顔で、しかも演技がリアルすぎ
て、「美しい同性愛」には生々しすぎる感じでした。それでグラントには置いてけぼり食ったよ
うな感じですが…。私はこの人の演技及び顔つき(表情)って好きです。役をかっこよくではな
く、人間くさくリアルに演じている感じで。もう一人、粗野な男役のルパート・グレイブスは、
こういう役だけ似合うのでは…?(別の映画でスーツ着て髪をなでつけてたが、頂けなかっ
た)ストーリーは、ケンブリッジ大学に通う主人公のプラトニック同性愛ってことで、アイ
ヴォリー監督の映像美とあいまって、まさしく少女漫画の世界でしたね。よく見てみると、当時
のイギリスの法律や、上流階級の制度、そして生々しい肉体関係への展開や、お金や地位への固
執…とシビアな味付けもされています。ワイルドな結末が好きです。
タイトル ロミュアルドとジュリエット
あらすじ 35才の青年実業家と45才の黒人掃除婦との恋模様をおかしく切なくほのぼのと描 いた物語。
(ロマンス〜ドラマ)
コメント まあよくある、ほのぼのラブ・ロマンスなんですけど、登場人物がインパクトあるし(女性は体
格のいい、肝っ玉母さんって感じ・男はダニエル・オートュイユだから、これもくどくて、日本
人から見ると余り美しくない印象)、不思議とツボにはまってしまいました。
タイトル お早う
あらすじ 小津安二郎監督が描く、下町の長屋で繰り広げられる日常風景。小学生の兄弟が、TV を買っても
らえない上叱られた事に腹を立て、「口をきかない」ストに突入。振り回される大 人、マイペー
スな大人…。(コメディ〜ドラマ)
コメント いやあ、これも「見てくれ!」としか。説明はしにくい、間が面白い映画ですね。小津作品らし
いほのぼの映画ではありますが、これは一般的な作品よりコミカル度合いが強く、メインになる
のが子供と近所のオバサンだから、少々品がない感じ(笑)。その分テンポも良く、キャラク
ターも濃い人が多いです。オナラをわざと出すのが子供の間で流行り、うまく行かずに「実」を
出してしまっては家に帰り、母親に替えのパンツも出してもらえない子供。組合費を着服して洗
濯機を買ったんじゃないの、とお隣の奥さんを責めた挙げ句自分の家でお金を発見するオバサン
(うんこたれの子の母親)。出刃包丁で押し売りを脅かす、象のような…のっそりとした迫力満
点の婆さん(組合費騒動のオバサンの母親)。セリフや表情に昔ならではの活気が感じられる作
品です。
タイトル ティファニーで朝食を
あらすじ 男友達をあしらって小遣いを得、名前のない猫とニューヨークのアパートで虚無的な 生活を送る
ホリー。エキセントリックな彼女に惹かれるスランプ中の作家には女性パトロンがい た。ホリー
も金持ちと結婚するだのブラジルへ行くだのと気まぐれに振る舞い、うまく行きそうにもない2
人だったが…。(ロマンス〜ドラマ)
コメント ロマンティックの王道映画です。実はこれ、原作は結末が違うんですよね、ホリーは一人で旅
立ってしまうの。それに比べて映画の方は安っぽいラブ・ストーリーで終わってしまっています
が、それはそれ、と割り切って楽しみましょう。この映画は、ファッションとか、ちょっとした
シーンとか、細部がいちいち素敵ですね。冒頭で、ティファニー宝石店のウィンドウの前でパン
をかじるヘプバーン、彼女の細身の体にぴったりの黒いシックなドレスと長いキセル・巻き上げ
た髪の毛。キャットという名の猫、お菓子のおまけの指輪、スーツケースに入っている電話、
シャンパングラスで飲むミルク。映画や漫画の世界ならではの夢を見させてくれる作品です。地
方で暮らす10代の私にとっては、憧れの要素がいっぱい詰まった映画、という感じでした。
タイトル ランデヴー
あらすじ スターを夢見る女優志願のニーナは、バッグ一つでボーイフレンドの部屋を渡り歩い ていた。不
動産屋に勤める内気な青年ポーロと知り合い、やがて彼の友人でシニカルで破滅的な 雰囲気を
持った役者崩れの男・カンタンに出会う。暗い過去を秘め、なぞめいた行動でニーナ を惑わした
末、自殺とも取れる交通事故で死んでしまったカンタン。その葬儀で出会った舞台監 督に大役に
抜擢されるも、ニーナはカンタンの亡霊の幻影におびやかされる…。粗暴で悲劇的 な、恋愛ドラ
マ。(ロマンス〜ドラマ)
コメント 若いジュリエット・ビノシュが、大胆で奔放で、とても魅力的!カンタン役の俳優さんの色男ぶ
りと、捨て鉢な雰囲気もばっちり。そしていじましくニーナについて廻るポーロ役の人も、いか
にももてなさそうではまり役です(笑)。ロミオとジュリエット(かな?)のロマンティックな
音楽もいいです。ニーナの奔放な暮らしぶりと、少々悲劇的なラブ・ストーリーが、私世代の少
女漫画の世界のようで、私的にはぴったりの作品です。客観的に見ると、ちょっと雰囲気に流さ
れて小品どまりになっているかな、という印象ですけども。その荒削りさが新鮮でもあります。
タイトル 小さな泥棒
あらすじ 第2時大戦後のフランスの小さな町。16才の少女の初体験、万引き、2度目の恋 愛、鑑別所行
き、脱獄…女への旅立ちをスリリングに描く。(ロマンス〜ドラ マ)
コメント これも、「10代のちはるがあこがれた世界」映画。自由で奔放な感じに憧れていたのでしょう
か。シャルロット・ゲンズブールの辛気くさい感じがね、やたらいかがわしい匂いがして良かっ
たです。田舎町の16才の主人公が、きれいな大人っぽい下着を万引きしたり、ハイヒールを履
いて映画館に行ったり、「5度目のデートを待たずに寝てもいいのよ」と中年男を誘惑したり、
果ては家を飛びだして…なんともエキセントリックで魅力的な作品です。
タイトル レネットとミラベル 四つの冒険
あらすじ 田舎育ちで少し風変わりな絵描き・レネットと、ソルボンヌに通うミラベルの織りな すストー
リーを、4つのオムニバス形式で描く。(ドラマ)
コメント これも「10代の私」シリーズです。パリで友達と部屋をシェアして、絵を描いて画廊に持ち込
むなんて、まあ日本の女の子が憧れてしまうような設定なんです。でもオシャレ過ぎないのだ。
ミラベル役の子は典型的なパリジェンヌって雰囲気でそつがないんだけど、レネットはちょっと
アクが強くて、そこがフランス映画っぽくて面白い。映像は、街よりも田舎の緑の方が印象的で
した。外にテーブルを出して、ラディッシュに塩とバターをつけながら手で食べていたのがおい
しそうだった〜。
タイトル カイロの紫のバラ
あらすじ 男には暴力を振るわれ、仕事でもミスばかり。映画を見て現実を忘れていられる束の 間だけが楽
しみだった彼女の前に、なんと映画のヒーローがスクリーンから飛び出して現れ、彼 女も映画の
共演者達も大騒ぎに…。都会のおとぎ話。(ロマンス〜ドラマ)
コメント これも好きな映画に挙げている私は、よほど現実逃避したかったのだろうか??ミア・ファロー
みたいな、一見ぱっとしない役が合う人って好きなんですよね。
タイトル BU・SU
あらすじ 田舎から上京し、芸者修行をしながら通学している麦子は、ちょっと暗くひねくれて いて、心が
BUSUな女の子。学園祭で「八百屋お七」を披露することになった彼女は、懸命に稽古 に励み、
少ないながらも友人もできる。一人の少女が成長していく様を、大げさではなく地味 に描いた作
品。(ドラマ)
コメント これも、主人公がぱっとしない映画です。これは演技と言うより、富田靖子が地で行っている感
じで、迫力があります。何となく周りから馬鹿にされてて、鬱々としてて、映画の80%くらい
がこの調子で…。それだけに、終盤、主人公が八百屋お七の衣裳を着て踊り出すシーンは、突然
花が開いたようで、例えようもなく鮮やかです。一貫して主人公のセリフも少ないだけに、まさ
に靜と動の対比が圧巻なのです。
タイトル 祇園囃子
あらすじ 祇園では名の知れた勝ち気な芸者・美代春のところに舞妓志願に来た少女・栄子。栄 子は現代っ
子らしい奔放さが評判になるが…。花街の騒動を艶やかに描いた作 品。(ドラマ)
コメント 溝口監督の繊細な描写、艶っぽい若尾文子に、初々しい木暮実千代。とにかくきれいです。言葉
や仕草の一つ一つ、どれをとっても美しい。計算し尽くされて緊張感に満ちた、そして華やかで
匂うような色気のある、溝口健二の力量を存分に発揮した作品。
タイトル 嘆きのテレーズ
あらすじ エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」が原作。退屈な夫、陰湿な姑と死んだような 毎日を送っ
ていたテレーズの前に、陽気で逞しい一人の男が現れる。2人は駆け落ちをはかる が、夫に阻ま
れ、思いがけぬ展開に。運命のいたずらに翻弄される人々を、シニカルに描く。(ロ マンス〜ド
ラマ)
コメント いやー、暗いです。シモーヌ・シニョレはじめ、登場人物がすでに辛気くさい。最初見たときは
主人公の気持ちになってみていたから、最後は「やっと幸せになれると思ったのに…。こんな
のって、あり!?」と愕然としたものですが、あらためて見てみると、いまいち同情できない主
人公でもあります。いずれにせよ、シニョレ、怖いです。旦那も、姑も、愛人も、不気味です。
皆不幸になってしまうので、無惨な印象の残る映画ですが、じっくり考えたら、因果応報みたい
でもあり、まあシニカルな作品、というところでしょうか。
タイトル キャリー
あらすじ 変わり者で病的な母親と暮らすキャリーは、学校では格好のいじめの的だった。プロ ムでも壁の
華、と諦めていたのに、あこがれの男子生徒に誘われる。信じられない気持ちのまま 出席した
キャリーがクイーンに選ばれ、ステージに上がったその時…。超能力を内に秘めた少 女が怒りを
爆発させた時、惨劇が幕を開けた。(ホラー)
コメント 暗い…。この映画も、暗い。これはいじめたくなるでしょう、と思うシシー・スペイセクの陰気
な感じがたまりません。当時20代半ばくらいだったはずですが、なんとも怪演です。クライ
マックスの描写はやり過ぎで、少々退屈ではありますが、いや〜な気持ちになれる名作(?)で
すね。
タイトル ハンドフル・オブ・ダスト
あらすじ イヴリン・ウォー原作。1932年のイギリス、富裕階級に属し、妻と一人息子に恵 まれて幸せ
な日々を送っていたトニーは善良な男だった。その善良さが災いして、妻の浮気にも気付かない
でいた。ある日、息子が事故で急死。悲嘆にくれるトニーに、冷酷にも妻は浮気を告白、家を出
ていくことを告げる。が、トニーは妻を責めないばかりか、離婚が妻に有利に働くよう奔走す
る。そんな人の良いトニーに感謝するどころか、より高額な生活費を請求してきた妻に、ついに
嫌気がさしたトニーは彼女のための骨折りを一時中止してブラジルへ旅に出てしまう。その先に
待ち受けていた運命とは…。主人公の滑稽な悲劇をシニカルに描く。(ドラマ)
コメント あらすじ書きながら、最高のプロット!と思ってしまった。本当は最後まで書きたいんだけ
ど…。本当に、こんな終わりってあるの!?という結末です。悲しい溜め息と苦笑が出ます。パ
ンフレットには、「一見不公平に見えるこの結末は、実は、真の罪も汚れも知らない者には滑稽
な悲劇が待っている、という痛烈な皮肉である」みたいに書いてあったけど、なるほど、と納得
できないことはないです。悪いことはしていないけど、でもそれだけだった主人公…本当の意味
で一生懸命生きていない者には、それ相応の未来しか訪れない…みたいな感じでしょうか。
ジェームズ・ウィルビイ、お人好しで紳士然としていて育ちが良くて、情けなくて滑稽な役を演
じきっています。当たり役でしょう。


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