・ROCKS・
ライブレポート・1998



’98 3/5・3/9エアロスミス
福岡ドーム・東京ドーム
ナイン・ライヴズ・ツアー
セットリスト3/5セットリスト3/9                         ※雑誌ニュー・ルーディーズ・クラブ25号に載せていただいた投稿文「いつまでも熱く」を引 用。投稿文に校正していただいており、さらに少し訂正を加えました。            (copy right=シンコーミュージック)                          3月5日、福岡ドーム。エアロスミスを観た!初体験にしてアリーナ2列目、ジョーのど真ん 前だ!カブキ・カーテンが落ちた瞬間、私の目に飛び込んできたのはまさしく「エアロスミス」 で、想像していた通り、人から聞いていた通り、いやそれ以上にかっこいいジョー・ペリーだっ た。興奮して涙が出た(オシッコもちょっと出た……)。それからはジョーのギター・プレイに 釘付けで、ほとんど白痴状態。あのスティーヴンすらろくに観ていなかったほど。        一年前まではロックなんてあまり聴いたことのなかった私にとって、ザ・イエロー・モンキー との出会いも相当ショックだったけれど、エマさんが好きというエアロは、はっきり言って 「え?それってまだ現役のバンド?メンバーって辞めたり死んだりしてないの?アメリカのバン ド……だっけ?」みたいな、名前は知っているけれども何だったけ?的存在だった。       しかし、いざ聴いてみると〈デュード〉〈ラグ・ドール〉等、実はリアルタイムで耳にして 知っていた曲も多い。私はMTV世代なのだった。〈ウォーク・ディス・ウェイ〉など、つい最近 までRUN DMCのオリジナルだと信じていたんだから……。本格的にはまったのは《パーマネン ト・ヴァケーション》を聴いてから。恋川碧子さん曰くの「イキそうでイカない」エアロ感につ かまってしまって、素直にかっこいいと思いながらも、どこかがもどかしく気にかかって、段々 ボリュームを上げて爆音で聴いて以来ヘッド・フォンは欠かせなくなってしまった。       さらに、ニュー・アルバムや初期のアルバムも手放せなくなっていく過程には、エマさんとエ アロのみならず、この「ニュー・ルーディーズ・クラブ」が深く関係している。特に、昨年発売 されたエアロ本『ウォーク・ディス・ウェイ』の影響は大きかった。初来日時の追っかけレポー ト。デビュー当時から再結成時までの数々のグラビア、来日時のセット・リスト、即CDショップ に走りたくなるようなアルバム・ガイド、等など「これがエアロだ!オラァーッ!!」と言わん ばかりだ。                                        そこへ来日。憧れの相手をダメもとでデートに誘ってみたらいきなり押し倒されたみたいな、 嬉しいけどちょっと待ってくれ、まだ準備できてないよって気分。もしかしたら騙されているん じゃないの!たとえば、話しに聴いていたようなすっごいライヴは、もう今は観られないとか ――なんて不安を抱きつつ公演日を迎えた。それが……。                   ライトを浴びてもなお細い身体でステージを駆け抜ける、まるで羽根が生えてでもいるかのよ うなスティーヴン、背が高くてブロンドのきれいなトムの紳士的スマイル、ダイナミックなプレ イの後、客席に何本もスティックを投げてくれたジョーイ。マイペースで掴みどころのない印象 のブラッドも、ところどころでソロをキメてみせた。ピンクのフリフリの付いていたシャツと前 髪をファンになびかせたかと思えば鍛えた上半身を曝してみたり、時には後ろに下がって、ゴロ ワーズらしきものを吸っていたジョーは、なんとステージから降りて、すぐ目の前でエモーショ ナルなプレイを披露してくれたのだった!タイム・スリップしてしまったのかな、それとも夢を 見ているのかな、と思っているうちに、呆気なくステージは終わってしまった(ジョー以外は、 ほとんど観ていない……曲目も良く憶えていない。ジョーのギターだってちゃんと観ていな い!!そんなのってない!!)。                              かくして私は無理矢理休みを取り、金を工面して3月9日、東京へと這い出てきたのであっ た。おお、東京ドーム、福岡ドームよりビールが200円高い。スタンド席のはじっこ(しっか りジョー寄り)に陣取った私は、黒々と広がる人々の頭を眺めて「うーんこの中に影山師匠や恋 川さんもいるのだろうか……。昔、武道館の椅子にはさまっていた人達もまだ健在なのか?もし かするとエマさんもこの中になどと考えて、一人燃え上がる。福岡では寒かったせいか、ノリが 今一歩だった気がしていた分(何しろ自分が正気を失っていたので確かなことは言えないけれ ど)、今度はやる気満々だ。                                ライヴが始まると、やはりこの日の方がテンションが高い模様。側で酔っぱらっていた外国人 のばかでかい声にスティーヴンも負けじと叫び返す。お馴染みのマイク・スタンドをグルグル回 すヤツや、他のメンバーの方に手を回したりするところ、それからジョーの開脚もよく見える。 〈テイスト・オブ・インディア〉ではマレットでベースをポンポンと鳴らすトムの姿が、なんと なく楽しそうに見えたし、〈ジェイニーズ・ガット・ア・ガン〉の歌い出しのすぐ後のドラムと タイミングを合わせてパッと照明が変わる演出も印象的だった。スティーヴンもマラカスやハー プをノリにノって操り、観客を煽り立てる。さらにハイ・ピッチでハープを吹き、息継ぎすると ころですかさずかけ声まで入れて、走って、跳ねて、歌って、叫んで……信じられないくらいタ フでエネルギッシュだ。                                  そうかと思うと、サングラスに帽子、それにふわふわのストールを優雅にスタッフから受け取 り、身につけるスティーヴンは「さあ、お次は何をやるか分かるだろう?」とでも言いたげな仕 草をみせて、ストールと同じ〈ピンク〉をハープで吹き始めたりと、余裕の部分もたっぷりだ。 70年代のすさまじいライヴを観られなかったのは悔しいものの、こういうちょっと丸みを帯び てそれがまたセクシーに感じられる彼を観ることができるのも、悪くない。いや、昔からチャー ミングだったろうし、今も十分にエキサイティングには違いないのだ。若い頃から何だか変わっ ていないようにも、やはり変わっているようにも見える。不思議なバンドだ。皆目を疑うほど カッコよく、ステージ・アクションだって昔とそんなに違わない様。〈ドリーム・オン〉〈ス ウィート・エモーション〉といった初期の曲でも、極端にアレンジが施されているわけではな く、ステージのセットや演出に凝って味付けをしているわけでもないのに、古さを感じさせな い。そうした曲と《ナイン・ライヴズ》からのナンバー、それに〈クライン〉〈エレベーター・ ラブ〉〈リビング・オン・ジ・エッジ〉等の曲が違和感なく溶け合い、触発し合って、どれも同 じくらい客の歓声を呼び起こしている。いろんな種類の花火が次々と打ち上げられるのにも似た 快感。ニュー・アルバム一辺倒にもせず、かといって安っぽいベスト盤的セット・リストに止ま る事なく、ジョーの歌う〈フォーリング・オフ〉やカヴァー曲も飛び出した。          意外によかったのは、〈ドロー・ザ・ライン〉。曲の途中に音が段々と低くなって行く部分が あるが、そこで、この時は完全に音が途絶えてしまい、いつまで待っても曲が再開されないとい う趣向があった。照明が落ちた中、死んだように横になって動かないジョー。耐えかねた客が叫 び出す。ようやくあのリフが鳴り出すと、皆異様に盛り上がった。               〈シック・アズ・ア・ドッグ〉で交換でベースを弾くジョーとスティーヴン、〈ウォーク・ ディス・ウェイ〉でスティーヴンがメンバーと並んでステップを踏む姿を拝めて(私にとっては RUN DMCを思い出して懐かしいのだ)、関門海峡を越えてきた甲斐があった、と感慨に耽る。後 半エアロスミス黄金期の曲中心のセットになってくると、私のタイム・スリップ感にも拍車がか かった。ジョーが頭の後ろの所にギターを回して弾いてくれたり、頻繁に笑顔をみせてくれたり したせいか、途中からはシンプルな黒っぽい格好で通していたスティーヴンのターバンもサング ラスもない姿はビデオで見た若い頃の姿にダブって見えてしまった。極めつけはアンコール3曲 目の〈闇夜のへヴィ・ロック〉。マイク・スタンドを挟んでこの曲を歌うスティーヴンとジョー が観たかったから(福岡ではこの曲をやってくれなかった)もう、大満足であった。       初来の時や、94年が良かったという人もいれば(88年92年の来日時の情報があまり手許 にないので、皆さん当時のライヴレポートを是非読ませて下さい)、アメリカで観るのが一番と いう人もいるだろう。けれど今回の「ナイン・ライブズ・ツアー」は私にとって言う事なし、一 生忘れられないライヴとなった。ホントに帰りたくなかったもん。手近なキャバクラに飛び込ん で日当稼いで、ダフ屋つかまえて、横浜アリーナ行っちゃおうか……。一瞬そんな考えが心をよ ぎったほど(いかに貧乏かバレてしまうな)。つまり満足したと言えども、やはり「だけどまだ 何かが足りない」と感じさせられたところがあるって事でもある。               今、私はエアロから届いたばかりの厚い手紙『エアロスミス自伝』(ソニー・マガジンズ刊) を読み終えたところだ。つい、「ジョーの胸板!」とか言ってしまう私に、彼等の音楽のルーツ や情熱の深さ、人間性や、バンドの絆を思い知らせる一冊であった。同時にCDを聴いたり、人か ら話を聞いて勝手に想像していたイメージと、そんなに違わないということも感じた。時の流れ の中で、いろんな事があって様々に変化を遂げては来たし、世代、国籍、性別、立場、そんなモ ノの違いから情報がありのままには伝わらなかったりもするけれど、一番大事な事って、そう変 わらないし、ちゃんと伝わるんじゃないかという気持ちにさせられた。根本的に嘘がつけない人 達なんだ、とも感じた。それだけに、人間的にも仕事ぶりも熟しているからと言って、安心して 眺めているわけにもいかないなと思ってしまう。《ナイン・ライヴズ》の制作過程のゴタゴタ じゃないけれど、高みの見物を決め込んでいたりすると、ある日フッといなくなってしまうん じゃないかという思いが私の中にはどこかにある。                      と、いう事で、次回の来日公演こそ全制覇だ。いや、行くぞ、行ってしまうぞ!アメリカ!再 びエアロをおがまん事にはわしは死ねんのじゃ!!                      ところで、ジョー、福岡でステージに戻ろうとして軽く足を滑らせたとき笑ってごめんね。 「落ちなくてよかった」安心感と「こんなところも観られる近さだぜ」の幸福感で、ついちょっ と笑ってしまったのです、決して「かっこ悪う……」という意味ではないの、許して、また来て 頂戴ね、頼みますよう。                                
’98 12/28ザ・イエロー・モンキー
日本武道館
メカラウロコ・9
セットリスト  まずは武道館に驚いた。そう、私は武道館すら初めてだったのだ。和風(?)の建物って事は 分かっていたが、夜目には想像以上に艶やかで妖しく、ザ・イエロー・モンキーにはぴったりの 雰囲気、と感じ入る。しかも会場前は、記念写真撮影のフラッシュの嵐。何だかやたら混雑して いて、連れとはぐれないようにするのに必死だ。「何だ、この芋洗いは!」「この熱気は!!」 と、気分は徐々に高まって……と言いたいところ、実はこの時点ではまだ実感が湧かず、ただぼ んやりしていたのだったりする。それだけ、このメカラウロコってのは、ファンにとってもバン ドにとっても思い入れの強い、特別なライブって事だ。しかも東京でたったの1日しかやらない わけだから、この日の客の在住都道府県は随分とバラエティーに富んでいたはずである。かくい う私は福岡から、連れは熊本からの参加。富山、広島からの友達もいて、気分はまるでフジ・ ロック・フェス……。                                   座席に着いてみたらば、2階スタンドだけど最前列!ってちょっと興奮(C列だったから3列 目だと思っていた)。ヒーセの真横(のはるか上)である。裏方というか、機材を置いている ところも見えるし、いよいよドキドキし始めたところ、待ち受けていたように係の人が現れて 「最前の人は立たないで下さいね♪」のメカラウロコな一言を発射。えええ?そんなの知らん ぞー!ここは中国?などとやたらに驚いてしまった。何を今更、と言われても、本当に初耳だっ たんだもーん。                                      いよいよ客電が落ち、“メカラウロコ・7”の時と同じくメカラウロコ楽団の方達が登場、演 奏を始める。美しくも切ない曲が3曲。座ってじっと聴き入って、「今日はクラシックのコン サートに来たんだったよなあ……」なんて再びぼけていると……やにわに流れ出すシャンソン 〈愛の賛歌〉とともに、メンバー登場だ!                          思わず近距離に見えるヒーセには悩殺された。セ、セクシイだぁー……。彼が中央の方を向い てしまうと、私の視界にはお尻や背中が飛び込んで来るわけで、その美しさ、色気にはクラクラ 来てしまう。黒地に金のストライプの入った衣裳は、この上なく彼に似合っていた。作家の馳星 周氏が、ヒーセの事を「ゴージャスで、チープで、セクシイ」といつだったか書いていたけれど も、まさにその通り、と実感。                              1番遠くに見える本命(?)エマさんも、最近とみに男臭くなって、大人の男の花やかさが鮮 やかである。白地にダルメシアン柄(吉井さん曰く、百一匹ワンちゃん柄)のスーツ様の衣裳だ が、上着は長く、たっぷり取ったドレープは流れるように揺れてまばゆい。遠くにいても、かな りな存在感だ。エマさん=優しい、控えめ、おっとりさん、と言うのが定着していたが、この頃 はそうしたキャラクター性を脱ぎ捨てた感もあって頼もしい。                 アニーはね……。ごめんなさい、服装は余り覚えていない。だっていつもすぐ脱いじゃうんだ もん。いやいや、彼も筋肉が素敵だ。それにあのサービス精神というか茶目っ気も。「本当は全 然さわやかじゃないのに、さわやかさんって言われている」と、よくご本人が言ってらっしゃる が、そりゃ他の3人のようなアヤシサはあまりない気がするよ。                そして真打ち。吉井さんは……んっ!?紫のコート……襟と袖が蛇柄のヤツ……もしかして あれは、相当初期の頃にお召しになっていたものではないか?心憎いことをやってくれる人 だっ。                                          いきなり1曲目、誰もが想像できなかったであろう〈SONG FOR NIGHT SNAILS〉にびっく り!まさかコレ、生声で聴く事があるとは思わなかったなあ。途中、ささやくような、吐息を洩 らすような「Ah,snail job……」の後、ミラーボールが回りだし、光のかけらをちりばめた ようなその照明の効果に、客席は陶然となる。                        個人的に嬉しかったのは4曲目の〈OH! GOLDEN BOYS〉だ。95年の初の武道館ライブをビデ オで見て以来、この曲イコール武道館と思って来た私には最高の1曲だった。武道館といえば ロックの殿堂。あこがれのこの場所で演る日のために、ファースト・アルバムのこの曲を、他で は演奏せずに初武道館まで大事に取っておいた彼等って、ホント芸が細かい。それをまたやって くれた事に、感謝。ところで、雑誌ニュー・ルーディーズ・クラブの佐藤睦さんがエアロのライ ブ・アルバム《A LITTLE SOUTH OF SANITY》を「どの時代の、どのツアーを見落としていても だいじょうぶなように、このアルバムを作ったのだと思った」と評していたが、ザ・イエロー・ モンキーにおける‘メカラウロコ’も同じ様なものだと思う。本当にありがたい。‘メカラウロ コ’や、‘パンチ・ドランカー’のホール・ツアーでは、チケットが取れなかった人も多いと 思うが、その分集客数の多いアリーナ・ツアーをやったり、ビデオ《メカラウロコ・7》を リリースしたり、彼等って、本当にファンを大切にしてくれる。コアなファンにも、ちょっと聴 いてみたい人にも、フォローが行き届いている。                       次の曲へはアルバムと同じ曲順でなだれ込んだが、このやり方は随所で見られた。インディー ズCDからの〈FAIRY LAND〉の後の2曲もそう。ギターとボーカルだけの静かな、しかし凄い存 在感のオープニングが印象的だった〈SECOND CRY〉から〈FINE,FINE,FINE〉へ。この2曲は 絶対切り離せないと思っていたので、後の曲では特にノリまくってしまった(座ったままだ が……)。アルバムツアーではおなじみの〈PUNCH DRUNKARD〉と同じくドラム、ベース、 ギターの順で始まる、ライブでの見応えも大きい曲だ。引き続きハードなナンバーの 〈VERMILION HANDS〉ではエマとヒーセがステージ前方に出てきて、その足下ではライトが点滅 し、うおーっ、かっこいい!と、バンドの様式美を存分に堪能。長身、長い脚、思い思いだけど 不思議とバランスが取れているファッション。ボーカルが妖しくもいかがわしくて、ベースと ギターがしなやかにステージを駆け抜けて、アニーが嬉しそう〜にドラムを叩いていて(そして ひょうひょうと三国さんがキーボードを弾いていて)、そこへライトが当たったりすると、はっ とするほど見映えがする。ルックスは全てではないが、しかし大事であると再確認だ。メンバー が軽やかに走り抜けるのを、ステージ前でカメラマンが追って行く様がよく見え、「めっちゃ ロックスター!!」とか訳の分からないことを呟き、しびれる(死語)私。           その後は一転してじっくり聴かせる〈DONNA〉。セカンド、サードの濃厚な曲が続き、ムード たっぷりの中起こった、とんでもない出来事がある。MCの途中の事。鼻血の話なんかしていた吉 井さんが、突然頭を押さえて倒れ込んだ!が、いたずら好きの彼の事、と、客は誰も本気にしな い。スタッフが心配げに吉井氏に駆け寄って来ても、皆大受け、ロビン・コールまで飛び出す始 末。それでも吉井さんは起きあがらない……。次第に笑い声が消えていき、客がだんだん不安に なって来た頃、よろよろと起きあがった彼が一言、「痛い……お尻が」で、いきなり客席へ向け て特効の銀テープ発射!!うわあ!!と私は、本気でびびった。吉井さんのお尻から銀テープが 出たのかと思った位だ。もう、やめてくれよ、冗談に金かけるなよ。人を心配させるなよ。でも 似たようなことを“ メカラウロコ・7”の時もやっていたんだってね〜。           そこまでふざけておいてよくも演れるな、の〈THIS IS FOR YOU〉は、うってかわって涙も の。ラストのワンフレーズはエマさんのボーカル、しかも吉井さんとのキス?だか何だかのおま けつきの、レディース・サービスだ。今回のホールツアーではこの曲、見逃していた分おいし い。その後は初期のブギー調のナンバーに、ヒーセの三本締めまで入り、宴もたけなわという感 じで盛り上がる。 MCをはさんで「昭和っぽい曲」〈遥かな世界〉、そして……じゃらじゃらと 響いてくるのんきなあのギターは……「新曲をやります!」……「ブラジル・ブギウギ!」い や、〈おそそブギウギ〉だ!これは「曲」とは言えないかも知れないが、でも見てみたかったの よう!私は笠置シヅ子のファンで……まあそれはどうでもいいが、私がザ・イエロー・モンキー を好きになったのって、結構彼等のナツメロモードと言うか歌謡曲モードに因るところが大き かったから。しかし、吉井さんが歌うと歌詞が「あそこズキズキ」になってしまうのね。    キャー。なんだかんだでメンバー全員、三国さんまでがコレを歌わされると言う宴会状態になっ てしまった。                                       ここに来てやっと登場のシングル曲〈アヴァンギャルドで行こうよ〉と〈悲しきASIAN BOY〉 で、メンバー、いったん退場。                               再びメカラウロコ楽団登場、アンコールの〈街の灯〉〈真珠色の革命時代〉で雰囲気満点の伴 奏をし、盛り上げてくれた。                                さて……ここまででかなりの時間が経っていた。もう随分驚いたし、嬉しい思いもした。これ くらいだろうと思っていた。しかしいったんまた引っ込んでいた吉井さんが再びステージに現れ たとき……それはマリーさんへと、鮮やかに変化(へんげ)を遂げていた。目を疑った。セカン ド・アルバムの時の架空のキャラクター「マリー」。恋に破れ、黒い衣裳に身をまとった彼女 は、サード・アルバムのキャラクター「ジャガー」の登場とともに消え去ったのではなかった か?こともなげに、「オリンピックみたいに、4年に一回登場する」とか、女言葉(マリー言 葉?)で言ってのけ、この扮装では歌うと決まっていた〈4000粒の恋の唄〉か〈シルクス カーフに帽子のマダム〉を期待している皆に、「この曲は、女の格好で歌うの初めてです」と 言って騒然とさせる。「ちょっと時期が過ぎてしまったけれど……」(と、年末に言えば、 あれしかない!)と言って、なんと〈MERRY X'MAS〉をやってくれたのだった。とっくに興奮状 態を通り越して、座って見ていると言う事すら忘れ果てていた私だったが、夢のような事が重な りすぎて、もう「夢みたい」と思う事も出来なくなっていた。だから、途中からステージ上に雪 が降り始めたときも、私は泣かなかった。固まっていたのか何なのか……。でも実質上泣いたよ うなもんだよ。嬉しかったよ。最高だったよ。                        その後マリーさんが消えて、「吉井さん」が現れ、「新曲をやります」と言ったって、誰が信 じると思う??吉井さんが狼少年って事はさておいて、これ以上いい事、あるわけない!!っ て、誰でも思うよねえ。いやー、もう。それがやるんだもん。ホントにホントの新曲。初披露の 〈SO YOUNG〉。くーっ。サビが「それは何て青春……」と言うような、せつなくて、でも希望 に満ちた感じの歌だった。                                 この時の吉井さんの言葉、はっきりとは思い出せないけれども、「僕らは、一生青春でいられ るんじゃないかって思います」と言う意味の事を言っていたように思う。憎らしい位、嬉しそう な、誇らしげな顔をして。何さ、私だって、「一生青春」で行くもん!……と言うのが、新年の 誓いになってしまったのだった。                            
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