・ROCKS・
ライブレポート・1999
’99 12/15ベン・フォールズ・ファイヴ
ROCK CITY,NOTTINGHAM
セットリスト
ノッティンガムはロビン・フッドやレース編みで有名な町だが、会場のロック・シティは名前
の通りロックしていた。ガレージ風の造りだが、バーが充実・ロッカーでなくクロークがあると
いうのも、海外だなあと思わせる。
会場内で日本人の一団を発見。声をかけてみると、留学生とのこと。やはり追っかけ仲間はい
ないのか…。その他の現地人客の会話は全く聞き取れず、話す相手に事欠くも、ライブハウスの
スタッフがフレンドリーだったので、一人でもバーでのんびりする事が出来た。
この公演からは、すべてスタンディングだ。といっても、最前狙いでない限り、早くから場所
取りする必要はない。私は前から数列目、ダイブ最適ゾーン辺りに陣取った。
〈DON'T CHANGE YOUR PLANS〉で始まると、いきなり場内大合唱!私の隣の人は、コーラス
部分もきっちり大声で、しかも時々外しながら歌う。スローな曲でも皆で歌いまくり、ちょっと
でもノリのいい曲になろうもんならジャンピングにモッシュ。真っ先にダイブしたのは女の子
だった。楽し〜っ!て感じで、私もハナモゲラで歌いつつ飛び跳ねまくった。ペンやピアスがど
こかに吹っ飛んでしまったので、この日のセット・リストは不確かだ。もちろんメンバーもゴキ
ゲンで、ライブ中、写真を撮る客に渋い顔でポーズ?を取ったりしていた。じっと見つめられる
と写真も撮りにくいものと知りつつ、釘を刺してる感じとも取れたが…(カメラチェックないけ
ど、撮りすぎは一応良くないかなあ、と)。
アンコール最後は〈SONG FOR THE DUMPED〉。英語バージョンは、日本では聴く機会がない
ので貴重だった。
また終演後、ピアスを探そうと下を向いたら、コインが2枚も落ちていた。内1枚は1ポン
ド。まだ灯りがついていなかったのに、と自分の目ざとさに呆れる。灯りがついた途端、足下に
お金が落ちていないかチェックしているヤツがいた…。結局ピアスは、入場時話した日本人の人
が見つけてくれた。ついでに甘えて、開場前で記念撮影もしてもらったのだった。
’99 12/16カルチャー・クラブ、バナナラマ、
ヘブン40、ベリンダ・カーライル イヴェント
WEMBLEY ARENA
思いっきり遅れて入ったため、カルクラしか見ていない。しかもライブ・レポというほど観察
していないのであしからず。
チケットはリスト・バンド制。カメラ・チェックが厳しい。ポケットまでチェックされた。会
場内にはいると、変なかぶりものを頭につけた客がたくさんいてびっくり。角がピカピカ光るタ
イプと、銀テープがビラビラするタイプ、どちらもカチューシャのようにかぶるやつで、会場内
で販売している。ほとんど30代以上の客がそれをつけている様は、なんだか異様。
ステージは、ゴージャスでエンターテイメント。生きていたのか思うほど懐かしいメンバー
は、確かにオリジナルのラインナップだ。皆楽しそうに演奏していて、ボーイ・ジョージの歌
いっぷりも、さすがに堂々としたもの、新曲もなかなかだ。新譜からのナンバーと往年のヒッ
ト・チューンを交えながらの進行で、新譜でカヴァーしていた〈STARMAN〉も聴けた。
すごかったのが、地元の観客だ。な〜んか所帯じみて踊りもユルイくせして、心底嬉しそうに
大歓声でバンドを迎え、昔の曲を大合唱していた。余りの勢いに私は引いてしまったよ…と言い
たいけれど、昔取った杵柄?で私もしっかりそらで歌ってしまったのだった。その上、帰りには
あの変なかぶりものまで買う始末。郷に入らば郷に従え…?
’99 12/17ベン・フォールズ・ファイヴ
CORN EXCHANGE,CAMBRIDGE
セットリスト
この日は出遅れ。バスの到着が1時間遅れた上、バス停から宿が遠かったのだ。なんとか前座
が終わる頃には、会場到着。教会のような建物、中は広く、座席指定の2階席がある。クローク
がないため、コートを着込んだり、荷物を抱えたヤツがうようよしている。若者に混じって、物
珍しそうな様子の中年層もちらほら見かける。遅く着いた割にはすんなり最前に行けて、「おい
おい、大丈夫か?」と不安になる。この日こそダイブ・デビューしようと思っていたのに…おば
ちゃんの上にダイブするわけにはいかんだろう。
果たして、予感は的中してしまった。私の左右2人は、最前にいながら全く動かない。歌いも
しない。「楽しいか?」と聞きたくなる。観客全体のリアクションも大人しい。さらにはセキュ
リティの兄ちゃんよ、私とベンの間に立たないでくれ〜。こんなユルイ会場にセキュリティなん
か要らない。実際ヒマらしく、ポケーッとしていた。私がベンを撮ったはずの写真には、この兄
ちゃんが鼻を掻いている(角度的に、ほじっているように見える)姿と、横で身じろぎもしな
かった大男がどアップで写っている。この日はベンもピアノに乗らなかったぞ。曲数も少なめ
だったぞう。
’99 12/18ベン・フォールズ・ファイヴ
ACADEMY,MANCHESTER
セットリスト
いよいよ最終。実際のBF5のイギリス公演は、もう1公演・グラスゴーでおしまいだ。グラス
ゴー、行きたかったんだけどねえ、距離がありすぎ。しかし、マンチェスター・アカデミーは、
またしても駅からが遠かった…場所がはっきりしていたら、バスに乗れば良かったんだろうけど
ね。外国の大学がでかいというのは聞いていたが、「マンチェスター大学」の表示がある場所か
ら、車道沿いに大学関連だか一般だか分からない建物が延々並んでいるんだ。今度は教会どころ
か聖堂(鐘が鳴ったりする)がそびえ立っていたりして、威圧感もある。辺りはすでに暗い。会
場のアカデミーはぽっとブルーのライトがついた看板で、見つけたときはとても安心した。
どこにでもいるダフ屋。「チケット、チケット」と呼び止められたので、「ノー・サン
キュー」と通り過ぎると、なんかえらい剣幕で再び呼び止めるではないか。ダフ屋ではなく、チ
ケット・チェックだった。わはは。でも切符切りの人は別にいたんだよね。二重チェック?それ
とも私は怪しい人?
この日の客はほとんど大学生、それも顔見知りらしく、日本人も見かけなかったから、怪しい
と言えば怪しかったかも。カップルも多し。友達連れやカップルの間に割り込まないように気を
つけて場所を取ったつもりが、気が付けば知り合いの輪に囲まれてしまった。この日のSEはクリ
スマス・ソングで、サンタ帽子の人もいて、和気あいあいムード。
いきなり1曲目でコーラスを外したダレンを、皆でからかう。この日は、静かな曲で休んで
アップテンポになると騒ぎ出すという、割と平均的なノリだった。モッシュではなく押しくらま
んじゅうで、わざと皆で押しっこしてキャーキャー言い合ったりした。〈FAIR〉では、ノリの
いい部分になるのを待って、その部分だけビョンビョン飛び跳ねた。ダイブしながら靴やタバコ
を投げるヤツもいて、なかなか楽しかった。
ちなみに曲は替え歌?や即興?、それにMCもいろいろ、この日に限らず飛び出していたのだ
が、よく分からなかった〜。BF5レポ、ほとんど「観客レポ」と化しているな…まあ、いいか。
ついでに、この日買おうと思っていたフリースが売り切れていたのはショックだった。早速着
よう、と薄着で来たのに。前日まではずっとあったのに…。くーっ。で、旅はおしまい。
’99 12/28ザ・イエロー・モンキー
メカラウロコ・10
日本武道館
セットリスト
九段下地下鉄を降りると、「チケット譲って下さい!」の紙を掲げた人達が待ち受けていた。
さらにチケットを求める人達が会場までの道を埋め尽くす。私は申し訳ないような気になって少
しうつむきがちに歩いた。実はこの日、福岡から夜行電車(青春18切符利用)で着いたばか
り。車内の暖房が効きすぎていたせいで喉はガラガラ、本当ならライブに行くより家でゆっくり
していたい体調だった。それでも…見ずにはいられない、メカラウロコなのだ。
とはいえ大暴れする気分ではなかった私にとって、幸い?席は2階の後ろの方。お馴染み〈愛
の賛歌〉に続いて〈死ね死ね団のテーマ〉が流れ出す、ということは…で〈RAINBOW MAN〉が始
まった。そのまま〈マリーに口づけ〉へ。ステージにはホーン・セクション(サックス、トラン
ペット×2、トロンボーン)に女性コーラス2名。何だかメカラウロコらしくない始まりに、少
し戸惑う。その後も《SICKS》からの曲が多いが、周りは約1年ぶりに見る彼等のステージとい
うこともあって大変な盛り上がりようだ。そんな勢いをくじくかのように、変な歌〈ミレニア
ム〉を披露する吉井さん…。MCで一休み。
気を取り直して数曲演奏し、ホーン隊やコーラスの紹介に移った。ホーンと言えば、私は再結
成後のエアロスミスを思い浮かべてしまう。良い意味で商業的である事を受け入れ、エンターテ
イナーであるべく覚悟を決めて、見事復活を果たしたエアロスミス。ホーンや敏腕プロデュー
サーを取り入れた復活エアロは、誰にでも親しめる大器になった。ライブバンドと言われ、小さ
な会場を廻るのが似合うバンドは、大物になる事を潔しとしないけれど、エアロは、大物になっ
ても相変わらず昔のファンからも愛されている。ザ・イエロー・モンキーも、ファンは拡大する
一途で、大物にならざるを得ない立場だが、その時限りの偽物ではない、古くからのファンも新
しいファンも受け入れていく本物の「大物」になっていこうと、どこかで心を決めたに違いない
――なんて私は勝手に思った。今さらのようだけれど、長いパンチ・ドランカー・ツアーやその
後の休暇によって自信や余裕が増した姿に、改めてそう感じたのだ。
さて、その後は初期の曲が続いた。次の〈JAM〉、〈BURN〉はやはり「メカラ調」ではないか
な。でも盛り上がっていた。〈おそそブギウギ〉では、ホーン隊から青柳さんが強制参加させら
れる。〈アヴァンギャルド…〉でいったん終了。
アンコールは〈LOVERS ON …〉。ただでさえ哀愁漂う懐かしい印象の曲なのに、スクリーン
には昔のメンバーの映像が映し出され、ノスタルジック!そのまま〈シルクスカーフ…〉、
〈SUCK OF LIFE〉と泣かせる選曲。ここでは、エマとヒーセがリフトみたいなので上に上が
り、2階のお客さんを大喜びさせる。2階にいながら、突然、メンバー目の前だよ?これはおい
しい。という都合上、エマと吉井さんの絡みはナシだった。〈悲しきASIAN BOY〉は、分かり
きっていても、電飾やパイロに心が躍ってしまう。
アンコールもう1回!メカラのいいところは、ライブ時間の長さでもある。〈バラ色の日々〉
でステージは終わった。
’99 12/29ザ・イエロー・モンキー
We Are Petticoat Laner de 公演
日本武道館
セットリスト
うーん、よもやエアロの初日とダブるとは。しかもエアロのチケットは、端とはいえ6列目
だった。悩みまくったものの、やはり貴重なFC限定ライブのチケットは手放せなかった。強欲と
言わず、分かってくれい。エアロスミスの皆様ごめんなさい。そして奇遇にも、モンキーのチ
ケットも、いざ席に着いてみると端の7列目。というか、真ん中だと9列目にあたる席だ。しか
しこの日も、疲れは取れたものの喉の不調、治まらず。のど飴を足下に用意して開演に挑む。
先日のメカラではさほど度肝を抜かれる演出はなかったので高をくくっていたら、〈SMILE〉
のあのオルガンの音が流れだし、ステージには幕が…。これはもしや…と思っていると、予想通
り〈マリーに口づけ〉で幕が落ちた!ビデオで見た初武道館公演そのまんまである。リアルタイ
ムで見られなかった私は、しょっぱなから興奮してしまった。
ホーン隊とコーラスは引き続きスタンバイ。〈ROCK STAR〉、〈SEE-SAW GIRL〉で一気に盛
り上げる。椅子が邪魔!ダイブさせろ!とはねまくる私。ふと見ると、足下にのど飴がバラバラ
になり飛び散っているではないか。自分で踏みつけ、蹴散らしたらしい。掻き集めていると、エ
マが花道に来た。かなりの至近距離。また飴を蹴散らして大騒ぎする。そして〈薔薇娼婦麗奈〉
と、この日のセット・リストは私向きだった。
MCに入り、「アマチュア時代の曲をやります」みたいなことを吉井さんが言う。つばのある黒
い帽子をかぶった姿で披露してくれたのは〈毛皮のコートのブルース〉という曲だった。それほ
ど古さを感じさせない、割と穏やかな曲調だったと思う。サビはhappy birthdayというフレー
ズを含む歌詞で、前日のメカラウロコ・イエローモンキーの10周年を祝ったものでもあっただ
ろうか。2曲ほどはさんで、〈THIS IS FOR YOU〉では前日と同じくスクリーンに昔の映像が流
された。この曲も懐かしさのある曲。次の2曲〈NEUROTIC CELEBRATION〉、〈イエ・イエ・コ
スメティック・ラヴ〉では怪しいラーメン屋のギャグを飛ばす吉井さん。オヤジ・モードは健在
だった。ホーン隊、コーラスの紹介の後、ホーン隊をフューチャーした〈審美眼ブギ〉。珍しい
〈MOON LIGHT DRIVE〉、ノリの良い〈SLEEPLESS IMAGINATION〉と続く。私の足下では、何度
も飴が飛び散り、砕け散っていた。拾い集めて邪魔にならないところに置いたつもりなのに、何
故…?
この年はミック・ロンソンの追悼コンサートが行えなかったから、と聴かせてくれた曲は、な
んと〈LOVE ME TENDER〉。スクリーンにはミックや、ハルのメモリアル・ステージが映し出さ
れる。つい先日、ベン・フォールズ・ファイヴを追ってイギリスに行きほとんど時間に余裕がな
かった中で、なんとかハルに行ってきた私にとっては最高の瞬間だった。この後にもエアロの
追っかけとかがあって、馬鹿なことをしている私に「まあ、いいんじゃない」とうなずいてもら
えたような気がした。もちろんただの思いこみだけど。そして〈SUCK OF LIFE〉。〈おそそブ
ギウギ〉を歌ったのはヒーセと、ホーン隊の下神氏であった。
アンコールではまさかの〈WEDDING DRESS〉に始まり、メンバー紹介をはさみつつあと3曲続
く。その頃になってようやく私は、エアロスミスのことを思い出した。「今、エアロも大阪で
やってるんだ」と、感慨に耽る。エマさんも考えているのかな〜とか思ってもみた。アンコール
2回目の〈WELCOME TO MY DOG HOUSE〉で終了。すごく好きな曲なんだけど、武道館では会場
が大きすぎる気もした。とにかく、なかなか贅沢なライブではあった。
’99 12/31・’00 1/2・4・6・7エアロスミス
THE ROAR OF THE DRAGON
(順に)大阪ドーム・名古屋ドーム・福岡ドーム・東京ドーム
(12/31はバックチェリー、MR.BIGとのイベント・ミレニアム・ファイナル・カウントダウン)
セットリスト(エアロのみ)12/31・1/2・1/4・1/6・1/7
※雑誌ニュー・ルーディーズ・クラブ27号に載せていただいた投稿文「ただ、ありがとうを、
言いたくて」を引用。投稿文に校正していただいており、さらに少し訂正を加えました。
(copy right=シンコーミュージック)
私の生まれは、エアロスミス結成と同じ年。そんな私の20代最後の年〜2000年への突入
は、なかなかロックに飾ることが出来た。99年の年末は、イギリスでベン・フォールズ・ファ
イヴ4本、武道館でザ・イエロー・モンキー2本を観て、そして大晦日から2000年にかけて
ドームでエアロスミスを5本。ついでにレッド・ホット・チリ・ペッパーズも観た。ただ見て来
ただけという馬鹿くささだが、本人にとっては甘い経験だった。
いよいよ記念すべきミレニアム・カウントダウンを迎える大阪ドーム。一大イベントなだけに
人混みがすごい。席はアリーナ50列。私は久しぶりに見るエアロなので何故か落ち着かない。
バックチェリーもミスター・ビッグもじっと見ている事が出来なかった。
ようやくエアロが登場した時、まず、私の目に飛び込んできたのは髪(つけ毛?)がピヨピヨ
飛びはねていて「安」と書かれたTシャツを着たスティーヴンと、髪の短い、グラサン姿の
ジョーだった。ちょっとびびる…。
ヒョウ柄のタンクトップ姿で金髪のジョーイの方が好みだったかも。ジョーイのドラムは、
〈ピンク〉のビデオクリップに出てくる「人面犬ジョーイ」の柄入りで、たまらなく愛くるし
い。ブラッドでさえ(?)目の覚めるような青いシャツで結構目立っていた。トムは相変わらず
学級委員さんみたいにバランス良く動いていたなあ。
〈ドリーム・オン〉ではライターの灯りが客席に満ちて、雰囲気満点!ライターを持っていな
かった私は大いに後悔した。念のため後で買ってみたが、他の会場ではやはり規制が厳しくて灯
せなかった。ううう。
ジョー・ペリー・コーナーに入る導入のように、〈熱く語れ〉が飛び出す。再結成後エアロの
バージョンよりもジョーのソロのイメージが強いだけに、まさかという思いがあって、私は大は
しゃぎ。
〈ストップ・メッシン・アラウンド〉も文句なしにかっこいい。その次が〈マザー・ポップ
コーン〉とは。ふと周りを見ると、曲を知らないのか、棒立ちになっている人達が。確かに90
年代のヒット曲に比べると地味な曲だからな、知らない人もいるかも…とはいえ私も全然詳しく
ないんだけど(当たり前)。
さていよいよカウントダウンがやって来た。入場の際にもらった風船(トムいわくピンクやブ
ルーに勃起した××のような)をいっせいに飛ばすと、上からも風船や紙吹雪がばんばん降って
来た。ふとステージに目をやると、なんだ、メンバーの家族がぞくぞくと現れてハグし合ってい
るぞ!この瞬間、会場はボストン・エアロのホームタウンと化した。
次に、舞台では、通訳まで付けてスティーヴンがスピーチ。でも訳が要らないくらい分かりや
すく話してくれた。愛…平和…そんな言葉が、暖かい雰囲気に満ちた会場に浸み渡る。カウント
ダウンだからお祭り気分だった人もいただろうけど、私はすっかり和んだ気持ちでステージを見
守っていた。
同時にこれからの日本に、言いしれぬ不安を抱いてしまったのも事実だ。何故エアロが、記念
すべきライヴの会場に日本を選んだのか。それは本誌(ニュー・ルーディーズ・クラブ)26号
で山口栄美さんが書いて下さっているが、もっと広い意味で、感じるところがあるのである。
つまり、これからの1000年間は、大変厳しいものになるであろうという事。希望もあるけ
れど、昨今の日本では不況、凶悪犯罪と暗い話題が多い。発展を極めた後、迷走している感じな
のだ。先延ばしにしてきた問題も直に逃げ場を失うだろう。そんな大変な危機をはらんだ日本
に、スティーヴンは、愛というものの存在に気付かせてくれに来たという気がしてしまうのだ。
大事にすべきものを見極めろ、周りに流されて俺達の二の舞をするんじゃないぜ、とでも言っ
てくれているような。
考え過ぎだろうか。
「アルマゲドン」のイメージもあるのかな。スクリーンには、ステージの模様ばかりでなく
〈ミス・ア・シング〉等のビデオクリップや過去のスナップを交えた凝った映像が流されていた
から。
ともあれカウントダウン直前までやった〈トレイン・ケプト・ア・ローリン〉は前回聴けな
かったので感無量だった。
ライブ終了後クラブKのイベントに行くも、踊り狂う友達を後目に、座り込んでエアロの余韻
に浸る私だった。
京都まで行って初詣をしたあと、そのまま名古屋に移動。
名古屋ドームの席は15列目。この日のスティーヴンは、メンバーそれぞれの側に行って、す
がっているように見えた。いつもなら観客にメンバーを「こいつも見てやってくれ!」と、ア
ピールしている感じなのに、なぜか演奏曲目も少なかったし、「スティーヴン、疲れているん
じゃないか」と、私が勘ぐってしまった。
〈ノー・モア・ノー・モア〉〈リメンバー〉は良かったが、〈ミス・ア・シング〉はトラブル
でもあったのか披露せず、一部最新ファン層を棒立ちにさせた。
翌1/3に福岡へ移動、いよいよ私のホームタウン、福岡公演だ。
ちょっと弱って見えたスティーヴンにすっかりノックアウトされた私は、当日、ピンクのマラ
ボーとプラカードを用意して会場に挑む。幸い席は4列目の真ん中。隣はと見れば、右山真知子
さんじゃないか!まさに鬼に金棒だ。
こんな私の思いが通じたのか、スティーヴン、この日はいきいきしていたみたい。間近で見る
彼は、色が白くて、すっごくきれい!みとれていたら、目があった(はず)!いたずらっぽく、
人を試すようにじらしておいてニヤッと笑ったのだ。腰が抜けるかと思ったよ。
前回はジョーを見て膝が笑っていたのに、ファンってホント現金。この日のお楽しみは〈レッ
ド・ハウス〉〈リック・アンド・ア・プロミス〉と〈S.O.S.〉。おいしい思いをしたと思
いきや、これらの曲はこのまま最終日まで続いたのだった。〈レッド・ハウス〉ではジョーばか
りでなくブラッドのソロ(そして弾いている時のその渋いお顔)、それにキーボードがとても印
象的だった。
福岡から東京へ移動してきた私は、ドーム付近のゲーセンで、参加賞のポスター欲しさにクエ
スト・フォー・フェイムに挑戦。
ゲート前で影山師匠に初対面!読者です〜と怪しい事この上ない私に、気さくに応じて頂いて
感謝。
ライヴが始まってみれば、観客のノリが断然いい。この日は〈ラスト・チャイルド〉でブラッ
ドをフューチャー。でもどっちでも良いかのように顔をしかめてただ弾くブラッドって、実は
ジョーよりクールなのか…?ジョーイは、ドラムセットが回る〈ラグ・ドール〉等所々でス
ティーヴンに煽られてニコニコ。トムはもちろん〈スウィート・エモーション〉が見せ場だ。別
の曲では花道まで来てくれるが、ジョーの素早さにははるか及ばず。ジョーはやっぱりよく動
く!あれでスティーヴンも随分助かっているんだろう。最後には「必殺でんぐり返り」まで飛び
出していた。
最も嬉しかったのは〈ドリーム・オン〉かな。左側の花道でずっと歌ってくれ、途中から
ジョーも来てくれたもんね。
あっという間に最終日。
せっかくずっと追いかけたのに、なぜ曲のリクエストをしなかったんだろうと思ったり、喉の
不調のせいで、声援ではなく変な悲鳴しかあげられなかった事が悔しかったりするが、泣いても
笑っても最後なんだ。そう思うと遠いスタンド席なのに、始まった途端、泣いてしまった(ほと
んど中学生)。連日同じヒット曲オンパレード状態の序盤が、かえって胸を締め付ける。
同じと言えばジョーイの服。赤地に黒の柄Tシャツとヒョウ柄タンクトップ、ほとんど毎日見
ていたような気がするのだが、実は似ているけど違う服だったのだろうか?
〈バック・イン・ザ・サドル〉をやってくれた時は、場内、やった!という感じで盛り上がっ
た。あの口笛、かっこいいよなあ。もう一つ、聴けそうで聴けなくてもどかしかった〈ドロー・
ザ・ライン〉の演奏は、もう痒いところに手が届いた思い(笑)。だってジョーってば、〈熱く
語れ!〉の時にこの曲のリフを毎回弾いて、しかもギターまで〈ドロー・ザ・ライン〉の時のも
のを使っていて、今日こそやるのか?って思わせまくりだったのだ。
前日よりも2回転くらい増えたジョーのでんぐり返りで、夢の時間は呆気なく幕を下ろしてし
まった。
友人に聞くまで全く気付かなかったのだけど、この東京2公演は、スティーヴンの膝の怪我以
来初めての連続2daysだったそうだ。アクシデントを克服しながらロング・ツアーを終え、
ニューイヤー休暇をお預けにして毎回2時間ものライブを見せてくれたわけだ、もっと観たい、
追いかけたい、と思う私だが、彼等に、これ以上もっとやってくれ!とは、さすがに言えない。
そういえば、今回私が、なぜエアロを追いかけたかったのかといえば、ただ「ありがとう」と言
いたかったからなのだ。
なぜなら、私は彼等の在り様に、ひたすら感動するからだ。自然に対峙する時に抱く、畏敬
と、一体感、自分に対して湧き起こる疑問を、エアロスミスに向かう時にも感じてしまうからな
のだ。本当に最高のバンド。一生離れられそうにない。ありがとうエアロスミス。
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