’99 7/30〜8/1フジ・ロック・フェスティバル’99
苗場スキー場
※雑誌ニュー・ルーディーズ・クラブ25号に載せていただいた投稿文「九州からGO! ついに
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを体験する」を引用。投稿文に校正していただいており、
さらに少し訂正を加えました。(copy right=シンコーミュージック)
97年の夏、2万5千人が思い描いたであろう夢を、今年私たちは、見ることが出来ただろう
か――大自然の中、心地よいロックを聴きながら、ビールを飲み、友人と語り合い、芝生の上で
昼寝をしたかと思えば、ステージ前に移動して大暴れする。そんな楽園が今年こそ訪れたと、
思ってしまっていいのだろうか?
97年と言えば、フジロック・フェスティバル一回目、富士山麓で開催するも、台風の直撃に
遭ってしまった年である。私が、ザ・イエローモンキーに出会い、10年ぶりくらいにロックに
夢中になり出した頃だ。しかし聴き始めて2カ月ほどの事で、福岡から富士山まで彼等を追っか
ける、あるいはロックフェスを楽しみに行く、という状態ではなかった。
従ってあの一回目のフジは、目撃出来なかったのである。
大変後悔し、翌98年は、ザ・イエロー・モンキーが出ようが出まいが絶対に参加するのだと
決めた。状況が状況だけに、再びフジロックがあるかどうかすらおぼつかない上、まだインター
ネットを始めていなかった私には、情報網もなければ、期待と不安を分かち合う友達もいなかっ
た。
それでも二回目のイン・トーキョーは無事に開催され、便利なロケーションと好天候に、単独
参加の私は随分と助けられた。しかし最も良かったのは97年からの一年の間に、主催者も客
も、多くを学び工夫した事ではなかっただろうか。具体的にはゴミの仕分け、体調の自己管理
等。主催者側からの配慮は、ちょっとばかし過保護だった気もするけど、フジロックの灯を絶や
すまいとする連帯感は本当に素晴らしかった。
それからさらに一年。私はインターネットを始め、SMASHのホームページ内の掲示板で九州各
県からのフジ参加者らと知り合い、度々飲み会をしては、99年への期待を高めて行った(新年
会は、熊本に里帰り中の大将・SMASH社長も迎えての大にぎわいであった)。
そしていよいよ99年の詳細が決定した。今年は三日間、それも新潟・苗場スキー場と聞き、
ちょっと驚く。予算も馬鹿にならない。もしかしたら、海外フェスに行った方が安いかも知れな
い。でも、フジを見逃すわけには行かないのだ。何と言っても、流浪のフェス。会場、日程と
年々様変わりし、残念ながら今年は実現しなかったもののサーカスや映画のテントも予定されて
いたのだし、何が起こるか、行ってみなければ分からない。しかも今年はあのレイジが再びやっ
て来てくれるのだから。
そして……丈夫なレインコートを買ったり、チケットや宿の確保に翻弄される内、いつのまに
か出発日がやってきてしまった。実感湧かねど武者震い(?)。
<7月29日>
4時35分。 まず昼は仕事をし、少し早めに抜け出すと、連れ(高校生!)と待ち合わせて
博多駅改札へ。のぞみ号で東京まで五時間の旅だ。何故飛行機に乗らん?と思うだろうが、夏休
み中は特割の五割引が効かないんだよ!といって、新幹線の方が安いかというとそうでもないん
だけど。私は列車でだらだら、弁当やビールを楽しむのが好きなのだー。ロック好きというよ
り、もはやただの酒好き、祭り好き。一人で行くのは不安だから……と新幹線に同乗した連れ
は、やや疲れてしまったようである。悪かったかな。
9時28分。 東京駅着。会場行きツアーバスは新宿発だ。なのに、浮かれた頭は「苗場(な
えば)」の三文字ですでにいっぱい。乗り換えの事など、全くぶっ飛んでいた……荷物を引きず
り、「新宿西口」を探してしまったのである、東京駅で!田舎者どころか馬鹿そのものだ〜、は
あ。私は二年間東京に住んだ事があるのだが……立場ないっす。
11時頃。 何とか新宿にたどり着き、バスに乗り込む。飛行機でやってきた友人と、合流す
るはずだったが、出会えず。バスは、距離が短いためか、本格的な夜行バスではなく、座席が狭
い。途中寄ったサービスエリアは飲食物が充実していて、買い忘れたものを補充するのに重宝し
た。
<7月30日>
午前5時頃。 快晴の青空と、美しい緑の山々、そして真っ白に輝いてそびえ立つ苗場プリン
スホテルのコントラストが、寝惚け眼でバスを降りた私たちを迎えてくれた。苗プリ後方の山の
傾斜面はキャンプサイトで、色とりどりのテントが、ちまちまと並んでいて愛くるしい。会場は
まだ見渡せない。はやる気持ちを抑え、荷物を預けるため、いったん宿に向かうことにした。
私たちは、民宿・ペンション組である。宿の方は朝早くから快く迎えてくれた。感謝。
周囲にはコンビニ、土産物屋、自動販売機が立ち並ぶ。思ったより便利そうである。バス乗り
場では会えなかった友人とも合流。キャンプ組、苗プリ組、車泊組の友達や知り合いもいるが、
果たして何人と会えるだろう。
8時頃。 やっとで入場。今年もZカード(小さく畳んで首から下げられる、サイトマップ&
タイムテーブル)をもらった。これは本当にいい。
気になったのは、当日券が売り出されていたキャンプサイト・チケット。開催前には売り切れ
となっていて、宿に泊まる金がなく、ひたすらキャンプ券を探し求めていた人がたくさんいた。
泣く泣く宿を取った人や、ひょっとすると参加自体を諦めた人すらいるかも知れないのに……当
日売り出すのなら、きちんと告知して欲しかったなあ。まあ、急に増やすことに決まったんだろ
うけどね。
すぐにグリーンステージ・エリアに着く。美しい。一面芝生に覆われ、涼しげな木陰もある。
後方には、すでにパラソルやレジャーシートの陣地が出来ている。ステージ前方の足元はコンク
リートで固められ、雨の中踊っても大丈夫なようになっていた。去年の教訓だろう。
開演までまだ時間があるので、サンダルに履き替えて、一人、探索の旅に出ることにした。ホ
ワイトステージへ向かう。途中、グッズ売場でパンフをゲット。ここでもらえるビニールバッグ
が便利でかっこいい。早速使おいう魂胆のもとの、早めの購入である。
ほの暗い山道を行くこと15分くらいで、ホワイトステージに着いた。さらに奥の、フィール
ド・オブ・ヘブンに行ってみることにする。
着いてびっくり。グリーン、ホワイトに比べて、出演者も少なく場所も遠いことから、行かな
かった人もいるかも知れないが、ここは面白いぞ!ステージにはラベンダーの花が飾られ、場内
には怪しいオブジェなどが。出店なんかも一風変わっている。ハンドメイドのログハウス風?カ
フェの隣では手作りの洋服なんか売っているし、外国人の子供が裸で無邪気に走り回る姿も雰囲
気をかもし出していた。
チベット人の自由が剥奪されている問題やカンボジアの地雷問題を提議するテントもあったの
で、立ち寄る。署名や寄付、活動団体への加入、グッズ購入などが可能だ。「地雷、危険!」と
英語とカンボジア語で書かれたTシャツは何と1000円。売上金の一部が寄付されるという。
50枚しかないとかいう話を聞きつけ、あわてて購入。そろそろグリーンに戻ることにする。
11時頃。 今度はダンステントとリーバイス・ニュー・ステージ見学。こちらには大規模な
食べ物屋ゾーンもある。昼御飯を食べていると、ロケット・フロム・ザ・クリプトの演奏が始
まった。なかなか好みだ。しかし旅の疲れもあるし、だらだらしておくことにする。友人二人は
ホワイトで電撃ネットワークを満喫中。かなり良かったそうだ。
12時半頃。 次はフィッシュ。フジに出演が決まったとき、名前さえ初めて聞いた人も多
かったはずだ。が、SMASHの掲示板を見ていると、彼等を見たいがためにはるばる海外から参加
するというファンがたくさん書き込みをしていて、どうも海外では有名な存在のようである。し
かも、フィールド・オブ・へブンには三日間通しての出演。「これは何者なのか、見届けねばな
らん!」と思い、ステージ前に移動。
ごつい若いバンドかと思っていたら、おじさん四人が登場。ピアノも入っているし、のどかそ
う。いざ始まると、ゆったりしていたり、急にハイテンポに変わったり、なんともつかみがた
い。ジャンルでは言い表せない。ファンとおぼしき、主に外国人の客は、思い思いにリズムを
取って踊っている。謎を秘めたまま、ステージは終了。どうも彼等は、グリーンよりフィール
ド・オブ・ヘブン、それも夜のステージの方が似合うという気がする。翌日観に行くことを決
意。
2時前。 友二人が帰ってきたので、民生まで昼寝をすることにする。これがちょっと失敗。
熟睡してしまい、起きた時には民生は終わっていた。すまん、民生よ。
3時半頃。 スティービー・サラスのことも知らなかったのだが、思っていたよりハードなサ
ウンド。なかなか盛り上がっていたようだ。
5時頃。 次は、フィールド・オブ・ヘブンのRUBYに興味があったものの(鮎川誠夫妻が来
ていると聞いたので、サンハウスのよしみで飛び入りするかも知れないし……なんて狙いもあっ
たりして)、周囲に押されてハイ・スタンダードを取る。ハイスタ!これは、盛り上がり度と集
客数では、今回一、二を争ったのではないか?というほど、すごかった。終わりのほう、「みん
ながひとつの輪になったところが見たいなあ……」みたいな難波さんの一言で、観客が知らない
者同士で手をつなぎマイムマイムを始めたのは壮観だった。さすがに一つの輪とは行かなかった
が、いくつかのタイプの「輪」が出来ていて、面白かった。
何時頃だったか忘れたが、食べ物を買い出しに行った際に、リーバイス・ニュー・ステージか
らミクスチャー系(と言うんだろうか?)の音が聞こえて来て、ついつられて観に行くと、韓国
のバンド、Dr Core 911が(多分)演奏していた。このステージは客が少ないのだが、それでも
皆負けじと踊り暴れているのがいい感じだった。ハングルとミクスチャー系って、合うもんだ
なぁ。
6時頃。 そろそろ夕刻。大詰めが近づいて来た。友人らは、オーディオアクティブ、プロペ
ラヘッズ、アンダーワールドと続くホワイトへと移動。私は、ブラッククロウズはエアロっぽい
かも?と思い、グリーンにて観戦。似てるけど、やっぱり違うかな。結構人気があるようで、
「かっこいい!」なんて叫んでいる子もいた。とにかく王道という感じ。アメリカの10万人ク
ラスの野外のライブ会場にいるような気になった。けども、次のレイジにそなえて途中でトイレ
に行く。ごめんなさーい。
9時頃。 キャー!もうすぐレイジよー!ホワイトから友一人戻って来る。私は開演前からス
テージ前で待機。一番前のエリアは怖いので、二番目のところ。男の子が多い。生きて帰れるか
しら?いざ始まると……うわー、やっぱりもみくちゃだわ。い、痛いよう。ちょっとずつ後退、
やや落ち着いてからまた前進。残念ながら何て歌っているのか、歌詞を読み込んでこなかったの
で分からなかったものの、楽しかった。ハッピー過ぎず、凶暴過ぎず、限りなくホット。二年前
の嵐の中の迫力には劣るのかも知れないが、とても素晴らしかった。
11時頃。 ホワイトから友人戻る。それとキャンプサイト組の友達も一人やってきた。二
人してアンダーワールドを絶賛。
<7月31日>
8時頃。 宿は朝食付き。ちなみに風呂は24時間入れて、しかも宿泊なしで風呂のみの利用
も受け付けていた。来年も苗場でもいい、と思えるほど、いいところだ。今更ナエバ・ロック
フェスティバルになってしまってはちと困るけれども……。
友二人、及び相部屋の三人組は早々に出かけて行った。今日は楽する日、と決めていた私は、
近所でおみやげ購入などを楽しむ。サザエさんのクッキーゲット。何故新潟産なんだろう?
11時過ぎ。 会場に着くと、なにやらすさまじい音楽が。見ればスカパラだ。ハッピーだけ
ど、去年より濃い感じがする。ドラムスの青木氏が亡くなって、ブランキー・ジェット・シティ
の中村氏が代わりに参加しているのを、事前に知っていたせいでそう思えるのか。メンバーも客
も、悲しみを吹き飛ばすように踊っていた。いや、すでに乗り越えてしまったかの力強さと、明
るさが、あったように思う。
朝っぱらから踊ってしまったので、ビール&めし補強に出かける。私は出店にはちょっと詳し
い。ある店は、ビールの量が多い上、玉こんにゃく(おでん風)をサービスしてくれたりするん
だぞ。冷やしキュウリは、テキーラばりに片手に塩、片手にキュウリを丸ごと持って、豪快に食
べるのがいい。フローズンカクテルやチャイを売っている店もある。人気どころは、去年もあっ
たが、タイラーメン、カレー、シシカバブ辺りか?900円のジャンボ牛串焼きは、とうとう手
が出なかった、ううう。ダルカレー&ライスに決め、手で食べてみる。うまい!どこの店も、
「おいしいよ!」とか、「遠慮しないで好きなだけ持ってってよッ(塩など、トッピング系のも
の)」などと下町チックなのも嬉しい。
フレンドリーと言えば、フェスティバルのスタッフも、機械的あるいは高圧的な態度ではな
く、楽しんでやっているという様子が、去年から引き続き見られた。そして去年からと言えば、
ゴミの分別収集やリサイクルを勧めてくれるボランティアスタッフA SEED JAPANは、今年も大
活躍だった。ありがとう。
そして、ゴミ問題や、動物を虐待から守ろうというような活動、チベットの問題……様々な団
体の人などが、ライブの合間を縫ってステージに上がり、色々な話を聞かせてくれた。フェス
ティバルのこういう面も、間違いなく魅力、もしくは意義の一つだろう。
1時頃。 さて、ステージエリアに戻るや、UAが始まった。レントゲン検査の時着るエプロン
みたいな、かわいい衣裳を着ている。にしてもかっこいいな、UAの歌声って。
2時半頃。 わーい、お目当て第二弾。キンクスのレイ・デイヴィスだ。意外と知らない人が
多くて、これなら知っているでしょう、と<ユー・リアリー・ガット・ミー>を口ずさんでみせ
た事すらある。私もほとんど知らないようなものなのだが、レイは、キンクスの代表的ナンバー
ばかりやってくれたので、ほぼ全曲分かった。次はキンクスとして来日してくれれば言うことな
しだね。
4時頃。 スカンク・アナンシー。フジロックに行けなかった友人からCDをプレゼントしても
らった(恋川碧子&RC編のエアロ本『WALK THIS WAY』のお返しとして)、スカアナは見届けな
くては!これも特に素晴らしいライブの一つであった。スキンのパワフルさとサービス精神、そ
れにチャーミングさ、そしてあの歌声には圧倒されっぱなし。なんて素敵なの!しかも客がヒー
トアップしすぎないようにと気遣ってくれていた。なんていい人なのっ。あ、でもたまにね、
ちょこっと怖かったのね、表情が……。
5時半頃。 そして睡魔がやってきた。ああ、観られなかったよ、リンプ・ビスキット。
「コーンばりにすごかったよー、でもすげー笑ったよー!」と言われたが、見当がつかん。一体
どんなライブだったんだ?見たかった。
7時頃。 イッツ・ショウターイム。夜のフィールド・オブ・ヘブンにてフィッシュ鑑賞の時
間だ。途中でホワイトへ移動してジョンスペンサー・ブルース・エクスプロージョンを見るつも
りである。あれっ、この順番じゃケミブラ見られないじゃない?ありゃりゃ、結構かぶるもんな
のねー。友はやはりグリーンのケミカル〜ブラーを取る者多し。あ、でもホワイトでアタリ〜
ジョンスペっつーのもいたな。何しろハンドルネームがミキスペっていうヤツだからなー。
夜のフィールド・オブ・ヘブン。わっ、何じゃこりゃ!である。ロウソクが灯され、出店には
カラフルな豆電球が下がり、お香とラベンダーの香りが漂っている。ビールを買えばラベンダー
をくれるし、客の踊りっぷりもぶっ飛んでいる。カントリー調?それともヒッピー?みたいなロ
ング・ワンピ姿の外国のおねえちゃんがひらひら舞い踊り、タオルを頭に巻いた日本人の男の子
達ががんがん飛び、ビールっ腹にPHISHのTシャツを着た外国人のおじさんがゆらゆら揺れてい
る。屋台からも拍手や歓声が上がる。国籍不明(でも多分日本人)の格好をした子供連れなんか
もいたりして、完璧「ここはどこ?」状態だ。
肝心のバンドはといえば、不思議で、巧みで、だんだんくせになる、軽いトランス状態へと引
きずり込む音楽を、放ち続けている。ハードロック、ジャズやフュージョン、レゲエ、カリビア
ン、カントリー等々、どんどん曲調が変化していく。インストゥルメンタルあり、ベース、ギ
ター、ピアノ、ドラムからなる四人の内の誰かが歌ってみることもあり、さらには一曲の長さも
安定していない様子。どうやら即興でアレンジしているようだ。その時々で、全く違うフィッ
シュが見られるって事だよね。
It′s AMAZING!
休憩時間。つまみを物色に行き、ホワイトのアタリに出くわす。すごい音!フィッシュから一
転して、怖いよー。逃げ出すようにヘブンに戻る。やがてフィッシュ再開。アンコールではチ
ベットのナワン・ケチャがゲスト出演。メッセージの後、民族衣装に身を包んだケチャの巨大
ホーンの演奏へと突入。何故かフィッシュのドラマーが謎の楽器(掃除機のホースみたいなも
の?)を持ち出し、共演。この時のドラマーの服がね……アッパッパ風なヤツだったんだよね
え。フィッシュに関しては写真撮影OKという事だったので、撮るべきであった。
11時。 ひゃあ!ジョンスペ終わってるじゃん。せめて一曲でも……と思ったが、時すでに
遅し。おそるべしフィッシュ。ブラーは1、2曲見られた。ここで九州からの友、またひとりと
合流。東京に出張に来ていながら、金・土と仕事で、この日のトリだけ見に来たという強者であ
る。最終日も夕方までしかいられないとかで、この曰はダンステントで朝まで踊る決意か。彼女
のロケンロー精神に乾杯。否、完敗。友二人が彼女と共に行くのを後目に、私だけ宿へ退却した
のであった。
<8月1日>
10時半頃。 フェミ・クティが目当てだったのに到着が遅れ、焦る。なにやらステージで演
奏していたのが終わってしまって、「フェミ・クティ見逃した!」と思ってしまったが、違った
らしい。あのナワン・ケチャが現れ、その後、大勢のミュージシャンやダンサーまで従えて、一
番手にふさわしいにぎにぎしさでフェミ登場。歌もいいけれど、彼の力強いダンスも見物。若々
しくエネルギッシュなステージにつられて踊り過ぎた私は、朝からへとへとだ。
12時頃? フェミのステージが比較的長かったせいもあって、早々に時間がずれ込んでし
まった。カタトニア、アッシュの演奏中は、ゆるりと食べたりまどろんだり、の時間とさせてい
ただいた。
3時半頃? また寝過ぎた。清志郎!フジロック・テーマソング「田舎へ行こう」、それと
ロック君が代?には間に合った。去年みたいに、RCサクセションの曲はやったのだろうか。
4時頃かな? 時間がずれ込んでいた上出演順序が多少変わったので、今一つ記憶がぼけてい
るのだが、オーシャンカラーシーン登場(の、はず)。この後の2アーティストが入れ替わる、
という事は、ジョー・ストラマーがトリッキーとかぶっちゃうよ!うわああ、どうしよう?なん
か珍しいところで悩んでいる気もするのだが。
6時頃?? バーナード・バトラー。ホールのキャンセル後に決まったスペシャルゲストであ
る。急遽出演してくれるなんて嬉しいじゃないか。ホールはといえば、映画はちゃんと撮れたん
だろうな?全くキャンセルなんて……ホールらしいよね(笑)。大胆にも、このあと友とトリッ
キーを見ることに決めた私は(何かの海外フェスで終始観客に背中を向けて歌っているトリッ
キーを見て、怖いもの見たさか、興味を持ってしまったんである)、途中でホワイトへと向か
う。
「あ、今の鮎川さんじゃん」という言葉に振り返ると、ホワイトからグリーンへ移動中の鮎川
誠&シーナさんの後ろ姿が。うおー、かっこええー。やはりジョー・ストラマー目当てか。こん
な風にミュージシャンが平気でうろついていたりもするから、フェスっていいんだよな。またフ
ジでシナロケが見たくなってしまった。ウィルコ・ジョンソンも連れて来てくれれば、もう最高
なんだけれど。
7時頃。 ホワイトステージはほぼ予定通りに進んでいるようである。じきにトリッキーが始
まった。あ、背中向けて踊ってる!と思ったら、それは別の人であった。トリッキーは普通に
歌っている。ふーん。曲も割とまったりしていて、そんなにアヤシイ雰囲気ではない。むしろ心
地よい。
またしても途中で抜け出し、友を夜のフィールド・オブ・ヘブンに連れ出す。
今度こそカメラを持ってきたので、記念撮影だ(でも光源が足りなくて写ってなかった…)。
9時頃。 いよいよ大詰め、ZZ トップに備えグリーンに戻る。と、まだジョー・ストラマー
がやっているではないか!走れ〜、走れ〜チハルオー♪息を切らして、何とか一曲見る。悪びれ
もせず前の方に行ってアンコールを叫ぶも、ならず。ちぇっ。
ZZ トップまでの30、40分、ステージ前で待機だ。おお、いきなり湧き起こるZZ トップ
コール。デカイ旗を振っている人もいる。見れば長い付け髭をしたおじさまだ(コスプレ?)。
なかなか気合いが入ってるではないの。子供を肩車したお父さんもいる。ビーチボールが放り投
げられる。すっかり海外のライブ会場にいる気分だ。バドワイザーかハイネケンをボトルでぐい
飲みすれば完璧だったかも。
子連れの人だが、今回かなり多かったようだ。ベビー・カーをよく見かけた。おじいさんやお
ばあさん(といっても若い)まで、たまに目にした。悪天候の場合が心配なものの、好ましい傾向
だと思う。お父さんの肩の上でZZ トップを見るあの男の子の行く末が、楽しみである。
さてさて、散々じらしまくってから、真打ち登場。うーん、やっぱり髭だー。余裕と貫禄。同
じ色のギターとベースを、同じポーズで呼吸を合わせて弾く、髭の二人。不思議だ。言葉は余り
発さず、指を立てるなどのジェスチャーで観客にアプローチ。しぶくてコミカル。パントマイム
みたい?サウンドは、ドラム、ギター、ベースそろって骨太でスピード感あふれるZZ節一直線。
スローな曲はやらず、ひたすら華やかにトリを飾ってくれた。私のよく知っている、80年代の
ヒットナンバーはほとんどやらなかったのが残念だった。そういえば、途中、すごい秘密兵器が
飛び出した。白くてフワフワ、モコモコの、綿だか何だかでコーティングされた着ぐるみ仕様羊
風・ギター&ベースだ。それをおじさま達が黙々と弾くんである。自分たちのチャーミングさを
よく分かってらっしゃるようであった。
11時。 TBA、to be announced分のアーティスト、トドス・トゥス・ムエルトスを、大将
が紹介。書き忘れていたが、一日目のグリーンのトリはレイジの後に出演した彼等で、私も満喫
させてもらったのであるが、最終日の真のトリ(?)もトドスが飾る事となった。いわく「アル
ゼンチンのレイジ」。聴いて納得、踊ればたのし、なのだ。今回は、彼等を始め、チベットや韓
国、いろんな国から参加してくれた人がいます――と、大将が続ける。私も心の中で、大将、元
気ですか!熊本で一緒に飲んだ者ですよ。全員は来られなかったけれど、出来る限り大勢で遠征
して来ました。今年も楽しかったですよ!このフェスティバルは、間違いなく大きくなっていっ
て、きっと日本の音楽界を揺り動かします。……、そう語りかけながら、夜行バスに乗るべく会
場を後にした。
「来年もまた、会えたらいいね」。大将の何だか気弱な?一言が追いかけてくる。去年の
「SEE YOU AT MT.FUJI」に比べると覇気がない。会えるよ!絶対会える。だって去年より、今
年は断然成長していたじゃないですか。去年はまだ気がはやって、押し合っては演奏中断、なん
て事があったのが、今年はなかったでしょ?もちろんラインナップと天候のおかげでもあるけ
ど、少しはフェスが定着してきたって思ってくれてもいいんじゃない。これからもっと、みんな
で素敵になっていけると思うし、問題をぶちまけたり、怒りを発散させ合ったりも出来るはず
だ。
だからきっと、嵐の中で人々が見た夢は、まだまだ見続ける事になるのだろう。少なくとも、
再び富士の地に還る日までは。それまでひたすら、ドリーム・オン!(あ、こんなところにエア
ロを出すなんて、私ったら、うひひ)。
’99 9/4ベン・フォールズ・ファイヴ
ZEPP FUKUOKA
初めて行ったBF5のライブ。まだ聴き始めたばかり、ライブに行くかどうかも決まらない内に
チケットが発売された。何日か悩んだ末買いに行き、1番後ろのブロックに…。が、その後は順
調にBF5にはまっていき、前日には結構な盛り上がりようだった。「この分ならにわかファンで
も楽しめるぞ」と変な自信をつけたとき、エアロスミス来日決定情報を耳にしてしまった。急遽
エアロボケになったまま、初のBF5鑑賞へと突入。
今回の来日公演は福岡のみスタンディング。本来スタンディングの方が好きなのだけれど、
3rdアルバムのストリングスの美しさを出すにはホールの方が良いかなあ、と思いもした。が、
〈DON'T CHANGE YOUR PLANS〉ではかなり重要な、フリューゲルホンの間奏部分をベースのロ
ブがコーラスで「パラッパ、パッパッパパラパ〜…」と歌ったり、と「荒技アレンジ」もなかな
か面白かった。私は3rdを主体で聴いていたため、もっと静かでマジメなバンドを想像していた
のだが…。かなりコミカルで、激しいのに驚かされる(普通はBF5というと1stアルバムのパ
ンキッシュな世界をイメージするから、この時の私は反対だったわけね)。
ところで、この日の公演は観客のノリが悪かったとよく言われる。私は勉強不足で、ヒット曲
が飛び出すなり歓声を上げることはできなかったけど、3rdは本当に好きだったので一生懸命歌
詞は覚えて行って、ずっと歌ったり踊ったりしていたのに、動きもすごきもしやしないヤツが多
かった。お陰でアンコールは一曲だけだったじゃないか!さすがにアンコールの〈金返せ〉は全
員で大合唱して楽しかったけどね。それと、「みんな福岡の人〜?」みたいなことをベンが聞い
た時に、後ろの方からでかい声で「ノース・キャロライナ!」「ミシガーン!」と応えていた人
達。なんかかっこよかった。しかもノース・キャロライナだったらベン達のホームタウンだし
ね。
’99 12/14ベン・フォールズ・ファイヴ
ROYAL ALBERT HALL.LONDON
セットリスト
来日公演で騒ぎ足らず、スタンディング以外でも見てみたかったものの、大阪・東京公演を見
逃し、しかも東京公演はすごかった!と聞き、ムズムズしていた私。幸か不幸か勤めていた店が
つぶれ、休みが取れることになった上、イギリス旅行から帰ってきた友人のイギリス熱が移って
いたため、初のイギリス旅行&海外ライブを決行することとなる。「何もベンをわざわざ見に行
かなくても…(しかも来日したばかりに)」と言われるが、逆に、初心者向きと言えるのではな
いか?チケットは確保できるし、ライブで死ぬような危険性もない。また、ベンが「自分達が本
当に理解されていると感じた場所の一つがロンドンで、あの町でコンサートを開く度にほとんど
いつも最高のショーが出来た」と書いていた事を考えれば、行くしかないのである。
というわけでイギリス、公演当日。まずはオンライン予約しておいたチケットを引き取りに行
き、座席表と照らし合わせて愕然!1番後ろのくそ席だ。と、ダフ屋が声をかけてきたので、チ
ケットを見せてもらう。座席表を覚えてこなかった私にはどんな席だか分からない。でも私のチ
ケットより悪い席なんかないはずだと考え、おびえながらいくらかと聞くと、定価より安い15
ポンド。おいおい、いいのか?
結局このシートはストール(スタンド席みたいなもの?)で、ステージ左手のかなり前方、む
しろアリーナ後方よりよく見える、いい席であった。しかも座席がくるくる回転するので、縦に
も横にも移動出来て便利なのである。ちなみに私が元々持っていたのは、サークル席というス
テージから遠い席種だった。あと、オペラなどを上演する会場なだけにバルコニーみたいな席も
あったが、あれはどの席種になるんだろう?
8時頃、前座のGENOVA登場。澄んだヴォーカルと、UKっぽいサウンド、ほとんどMCなしの
初々しさが印象的。しかしアルバート・ホールには合わなかった…。
9時頃、いよいよBF5の登場だ。福岡公演では見なかったホーンやストリングス部隊をひきつ
れている。2台のピアノの間にベンが腰を下ろすと、ああ〜顔がピアノに隠れて見えなくなっ
ちゃった。観客はといえば、歓声はすごいのに、全員座っている!なんかこれって新鮮。
曲目は大体来日公演と同じに進行していく。〈DON'T CHANGE YOUR PLANS〉では、やっと拝
めたホーンに加え、女性コーラスも入っていた。〈MESS〉で、ステージを美しくライト・アッ
プ。写真を撮ったが、光源が足りず写らなかった。写真と言えばほとんど撮り放題で、常にどこ
かでフラッシュが光っていた。それからMCだが、悲しいほど聞き取れない。ネイティブの早さで
喋るのでお手上げだ(来日公演でも早口だった気はするが)。
〈YOUR REDNECK PAST〉は、ロブの味付けが効いて、アルバムで聴くより断然かっこいい。
その次が〈ARMY〉。ホーン部隊もステージ前方に出てきて賑やか。アリーナ席では、数人立ち
上がる人が現れる。〈LULLABYE〉で落ち着いたかに見せて、次の〈FAIR〉ではホーン隊が一人
ずつ交互にマイク・スタンドの前に立ち、短いソロを披露。アリーナ席では通路にはみ出て踊り
出す客。そのうちのカップル一組は、フォークダンスを踊りながらステージ前に…。なんかヘン
だぞ?と思っていたら、〈ONE ANGRY DWARF…〉で、観客一斉にステージ前に駆け出す!ストー
ル席からも、仕切りを乗り越えて行く行く!!さらに椅子の上に立ち上がって大騒ぎだ。呆気に
とられてしまった。それじゃ、私も…と思ったときはすでに遅く、おばちゃんが仕切りの下に待
機して「ダメ、ダメ」サインを出していた。でも、すでに行ってしまった人を規制したりしない
んだよね。私も、同じストール席内で前の方に移動。次の〈UNCLE WALTER〉ではベンちゃんも
ピアノの上に立ち上がってご満悦だった。
アンコールでは〈VIDEO KILLED THE RADIO STAR〉が登場。追っかけ甲斐のある幕開けと
なった。
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