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漫画編

☆私的ヒット作家一覧・その2☆
おなまえ大島弓子
紹介 紙一重の才人、という印象。黄金期の短編群が秀逸。難解で頭が痛くなり小さな書き文字に目が痛くなるこ
ともあるが、なかなか面白い。
主な作品 ※短編
「バナナブレッドのプディング」…「わたしは三浦衣良。イライラの衣良と申せましょう」という転入生の
自己紹介に始まる。高校生にもなって夜トイレに一人で行けず、石けりや草を編んで真剣に遊ぶ衣良に危機
を感じ、女友達がボーイフレンドを紹介しようとするが、衣良の理想の男性像は「世間に後ろめたさを感じ
ている男色家の男性」であった。女友達の兄を男色家に仕立てあげての演技が始まるが…。
「たそがれは逢魔の時間」…逢魔ヶ刻に、主人公の中年サラリーマンが出会った、初恋の少女を思わせる女
子中学生。「わたしは邪夢。ストロベリー・ジャム」と名乗った彼女は、思わせぶりな態度で、男を惑わ
す。やがて妻によって、彼女が少女売春婦であることを知らされるのだが…。
「四月物語」…事故で死んだ主人公が、今なら間に合うから生き返れると別の霊に言われ、せっかくだから
と生き返るまでの時間を、好きなことをして過ごす話。空飛ぶ透明人間状態になっており、好きな人の部屋
に行ったり、好きな歌手のステージを見に行ったり、何故かホモポルノ映画を見に行ったりする。が、観な
ければ良かったものばかり見てしまい、主人公は生き返る気をなくしてしまう…。
・ほかに短編集多数、「綿の国星」、愛猫サヴァとの生活を描いたエッセイ漫画など。 →購入する
おなまえ楳図かずお
紹介 子供の頃、ヘビ女シリーズなどを読んだはずだが、大人になってからしっかりと影響を受けた。漫画家デ
ビュー40周年を記念して刊行された「ウメカニズム」を読み、「こんなのもあった、もう一度見てみた
い」「いや、こっちは知らない、読んでみたい」という作品を数多く見つけだし、小倉で開かれた楳図かず
お展に行って、即売されていたコミックスを買いあさる。この時にまことちゃんTシャツを買い、また原画
のすごさを目の当たりにして、計3回も足を運んでしまった。
主な作品「のろいの館」…赤ん坊少女タマミちゃんである。今読むとかわいい。結構笑えるし、最後は泣けるの
で、いまだにタマミちゃん恐怖症だという人は、勇気を持って再読してみてはいかがかな。
「まことちゃん」…こちらも下品で恐ろしい一家の話だと思って敬遠している人が多いのでは。家族の絆
が薄れて、元気のない子供が増え、挙げ句親子間の犯罪も起きている昨今では、まことちゃん一家の方がよ
ほど健全だという事を思い知らされて複雑である。全編に漂うリズム感とスピード感はただごとでなく、小
気味いい。
「影姫」…鬼姫の異名で恐れられる、残酷でやり手の姫が失明したため、秘密裏に、顔立ちの似た素朴な
村娘が身代わりに連れてこられる。偽物とばれることのないようにと、残虐な行為を笑いながらこなすこと
を強要され、親や好きな人を守るために必死で鬼姫役をつとめる村娘。やがて、演技のはずの鬼姫役が本心
と境がなくなってゆく…。いやー、怖いですね。怖いですね。
「漂流教室」…小学校が丸ごとタイムスリップしてしまい、未知の世界で、子供だけで生きて行かなくて
はならなくなる話。非現実的な設定ながら、かなり現実的な描写がされているため、生々しくて引き込まれ
てしまう。まず、先生など大人達がパニックに陥って、自殺したり、子供の食料を奪って籠城したりする辺
りが本物っぽい。あと、盲腸になった子供を、医者の子供がカッターナイフで手術する、というとんでもな
いエピソードがたまらない。そして、時空を越えて、会いたいと一心に願う親子の情が胸を打つ。
「洗礼」…美人女優の顔に、あざができ、いよいよ隠しきれなくなった時、彼女にある恐ろしい計画が芽
生える。自分に似た美しい女の子を産み、その子に自分の脳を移植して、再びきれいな顔を手に入れようと
いうのだ…。女の子が母親の陰謀に気付いて逃げまどうシーン、麻酔が効かない中で手術をされるシーン、
娘の体を手に入れた母親が、学校の教師を誘惑するくだり…と恐ろしさ満点。
「神の左手悪魔の右手」…楳図作品には、怖いながらあっけらかんとしたものが多い中、この全4話から
なるシリーズは不気味で異色。最近のサイコ・サスペンス・ムービー顔負けの残虐な描写、終わらない悪夢
のような執拗さがある。体から三輪車やハサミや新聞が飛び出してくる話や、病弱な子供のために描く絵本
の題材を求めて殺人を繰り返す父親の話など、怖すぎだ。
・ほかに一番新しい大作の「14歳」も二つとない怪作。また「怪」「恐怖」「おろち」などは短編集のよ
うな形で、ねたみや憎しみから起きる凄まじい出来事を淡々と描いている。奇抜な設定や、意外な結末、正
確な日常描写がすごい。そのほかに「半魚人」「黒いねこ面」「へび少女」「猫目小僧」「アゲイン」「わ
たしは真悟」
等傑作多数。 →購入する
おなまえ山岸凉子
紹介 吉野朔実、楳図かずおと並んで私に影響を与えた漫画家。この人の描く怖さは、冷ややかで身近。心理サス
ペンスと心霊ものの両方を描きこなすが、心霊もつまるところ、人の魂。ねたみや無念などの強い思いが死
んでなおこの世に残るわけだから、この人の描く怖さは、人の心の怖さに他ならない。また、バレエや歴史
に材を取った作品もある。絵は、日本画的な平面を魅せる独特の画風で、カラーのイラストも日本的な色彩
が非常に美しい。冷然とした艶めかしい絵が多い。
主な作品「わたしの人形は良い人形」…心霊ものの代表作。死んだ子供の形見に埋葬されるはずだった人形が、埋葬
されずに残ってしまったばかりに、逝ききれなかった子供の霊が人形に憑いて祟る怖ーい話。コミックスに
収録された「黄泉比良坂」「星の真白き花束の…」はそれぞれ別の怖さが味わえる秀作。
「日出処の天子」…聖徳太子は実は超能力者で、男色家であった…という設定。まだ若い太子がユニセク
シャルに描かれ、魅力的。策略と駆け引きがスリリングな上、謎の力を秘めた太子の恐ろしさ、不気味さが
時に背筋を凍らせる。
※短編
「負の暗示」…昔、田舎で実際にあった大量殺人事件を元に描かれた作品。横溝正史の「八つ墓村」でも
取り入れられた、頭に角のように懐中電灯を2本さして胸元にも自転車用電灯を取り付け、日本刀と銃をぶ
らさげた異様な姿で、真っ暗闇の夜の村を走り、次々と村人達を殺害していった様、またそうなるまでの、
狭い村社会での陰にこもった世界が克明に再現されている。事実は小説よりも奇なり、とはこの事。
「蛭子」…これも実際にありそうな恐怖。金持ちの美少年が、裏では恐ろしい顔を持っていて、ストーカ
ーのごとく主人公を追いつめていくのだが、悪びれない少年が、薄気味悪い。
「テレプシコーラ」…雑誌ダ・ヴィンチに連載の、久々のバレエ漫画。子供の頃バレエを習い、バレエ
漫画でヒットを飛ばした作者が、最近になってまたバレエを習いはじめてから始めた作品。それだけに、ち密で
現実的なバレエものになっている。さらに作者お得意の、病んだ現代社会のもつ怖さや、才能、人の情念の恐ろ
しさをミックスして、バレエ好きでない人でも楽しめるものに仕上がっている。主人公は、母親がバレエ教師
という恵まれた環境にあるが、気の弱い性格。プレッシャーと戦う子供の心理や、バレエに憧れる気持ち等が、
たくみに描写されている。そして突然登場する天才バレエ少女、彼女は、風貌が…環境が…怖い。アル中、
幼女ポルノ等現代の病んだ面がリアルに迫ります。その先生である元・有名?バレリーナの老女が、これまた
怖い(ピンクハウス状態!)。
・ほかに「パニュキス」「時じく香の木の実」「瑠璃の爪」といった初期〜中期短編群と、バレエ漫画の
「アラベスク」
、最近の「ツタンカーメン」「青青の時代」ほか多数。 →購入する
おなまえ萩尾望都
紹介 後世の漫画家に多大の影響を与えた人の一人。山岸凉子が陰で和の作家なら、萩尾望都は陽で洋の作家とい
う感じがする。SF、バレエ、同性愛、社会問題、コメディ、サスペンスなど多彩な題材で、人間のドラマを
巧みに描いている。
主な作品「メッシュ」…パリに住む贋作画家ミロンのもとに、ワケ有りの美少年メッシュが転がり込んできた。父
親との確執に悩んでいる上トラブルを背負い込みがちなメッシュは、短気で単純だけど気のいいミロンに気
分的に助けられ、ミロンも気ままな同居生活を楽しんでいた。それでも次々と事件が起こり…。
「完全犯罪」…甲斐バンドの曲の歌詞を多数引用しながら、殺人事件と恋愛ドラマが、ミュージカル仕立
てで進行していく、斬新な作品。一昔前の、スターを夢見て上京する若者の気持ちをドラマティックに描い
た甲斐バンドの歌詞が、作品の内容と交錯し、絶妙にマッチしている。
「イグアナの娘」…テレビ・ドラマにもなった秀作。短編だが、異色の設定と驚きの結末、感動的な読後
感が素晴らしい。
「残酷な神が支配する」…最近の大作。母親の再婚相手の男に性関係を強要される少年の葛藤を描く。再
婚相手の男を殺そうとして、実の母をも誤って死に至らしめ、追いつめられる主人公と、事情を知って何と
か彼を救おうとする義兄との交流など、話は複雑に発展していく。
※短編
「半神」…シャム双生児が主人公。妹の方にばかり栄養が行ったかのように、妹は可愛く、主人公の容姿
は未発達だった。妹は頭が弱く、主人公は頭脳明晰だったので、主人公はいつも妹の面倒を見させられて、
妹を憎んでいた、が…。わずか16枚の小品なのに、衝撃の結末。今でも読み返すと、戦慄を覚えてしま
う。
・ほかに「ポーの一族」「トーマの心臓」「11人いる!」「スター・レッド」「百億の昼と千億の夜」
「海のアリア」「フラワー・フェスティバル」
など多数。 →購入する
おなまえ名香智子
紹介 この人も昔から活躍している漫画家だが、最近の作品がなかなかユニーク。サスペンスとコメディという両
極を見事に描きこなす。どちらにしても少々倒錯的なエロティックさと、華麗で繊細な絵柄が特徴的。
主な作品「名香智子ミステリー名作選集」…エロティック・サスペンス集。大肝な発想と斬新などん転返しが面白
い。
・ほかに「パートナー」(ダンスもの)「鈴姫さま」(お江戸コメディ)「桃色浪漫」(ラブコメ集)など
多彩。 →購入する
おなまえハルノ宵子
紹介 SFというより、ファンタジー系の作家。ファンタジーっていかにもオタクっぽい気がしてつい避けてしまう
んだけど、作品ににじみ出ている作者の人柄に惚れて、ファンとなる。しかし、長編を連載中に休止したま
ま、最近は作品を発表していないようだ。ちなみに、吉本バナナのお姉さんである。
主な作品「プロジェクト魔王」…人間や動物のクローンが作られるようになった近未来が舞台。主人公は見た目は
悪魔、心は天使の映画俳優。映画で死ぬシーンやスタント・シーンをリアルに見せるため、彼のクローンが
作られたが、クローンは本物を凌ぐ力と知能を身につけて逃亡・暴走する。ありきたりな話のようだが、使
い捨てにされるクローンに感情はあるのか?人権はあるのか?というテーマが深い作品。
・ほかに「アスリエル物語」など。 →購入する
おなまえモンキー・パンチ
紹介 「ルパン三世」というとアニメが浮かぶが、原作は外国の風刺コミックに似た、スピーディでさりげない、
大人っぽい作風である。独特の絵柄、予測不能の展開。二人といない作家。
主な作品「ルパン三世」「新・ルパン三世」…エッチでクールでスリリング。原作では銭形も頭が良く、ルパンといい
勝負を繰り広げる。ルパンも、不二子に鼻の下を伸ばしっぱなしではなくてかっこいい。
・ほかに「逆イソップ物語」「一宿一飯」など。→購入する
おなまえ山本英夫
紹介 青年誌で活躍する作家らしい、スピーディな展開とアクション・シーン、リアルで確かな描写が魅力。日常
と背中合わせの闇の世界を赤裸々に描く。ギャグっぽい部分も面白い。
主な作品「のぞき屋」「新のぞき屋」…依頼を受けて尾行や盗聴をし、その結果を依頼人に報告する、のぞき屋。
援交の仲買をする女子高生VS実の娘を狙う変態オヤジ、アイドルオタクVS権力でアイドルを手にするプロ
デューサー、偽装結婚した同性愛者の中年男VS父親に愛されない家出高校生など、様々な人達の裏と表を描
き出す。対するのぞき屋のメンツも、一癖も二癖もある連中で、魅力的。
「イチ」「殺し屋イチ」…イチはいぢめられっ子だった。今や格闘技を身につけて強くなっていたが、い
じめられていたときのことを思い出すと、切れてしまい、泣きながら相手を惨殺してしまう殺人マシーンに
なっていた。リンチのシーンでいっぱいのヤクザ抗争も見ていて痛いが、殺し屋として利用されるイチの、
精神のアンバランスさも不気味だ(しかもかわいい)。
・ほかに「おカマ白書」など。 →購入する
おなまえ明智抄
紹介 SFものが多いが、何を描いても、独特のやばい感じがつきまとう。
主な作品「始末人」シリーズ…依頼を受けて人を殺す、いわゆる始末人のシリーズ。万札で首を切るヤツや、殺人
ダチョウなどが始末人。「下着だけは盗まれてはいけない」という親の遺言があったのに下着を盗まれ、自
殺した男の話、掃除をしない女が主人公で、夫が入院し夫の両親が家に来る事になったため、4日間かけて
掃除をしている間に夫が亡くなってしまう話など、なんだか怪しい。
・ほかに「サンプル・キティ」「キャプテン・コズミック」「死神の惑星」など。 →購入する
おなまえ山内規子
紹介 「ぶ〜け」でデビューしたところを見届けて以来、お気に入りの漫画家。おそらく吉野朔実のアシスタント
をしていたらしく、繊細な絵柄はなるほどという感じだが、独自の元気なキャラクターとテンポのいい展開
が楽しい。吉野朔実同様、小道具の使い方がうまい人で、デビュー作にあった、服のポケットからたくさん
動物が飛び出してくるシーン(隠して外に連れてきていた)が忘れられない。作品数が少なく、残念。
主な作品「一億年の封印」…船の事故に遭い、事故直前の記憶がなくなってしまった主人公。代わりに船に居合わ
せた人達の記憶が入り込んでしまった。家のローン、禁煙、息子の結婚式などに混じって、「あの人を殺し
てしまった」という叫びが聞こえ、まさか自分が彼氏(折しも失踪中)を殺したのでは?と不安になった主
人公は、バツイチ父子とともに真相究明に乗り出す。
・ほかに「ワイルド・グリーン」「スリーピング・ラブ」 →購入する
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